文=泉誠一 写真=野口岳彦、B.LEAGUE

レギュラーシーズン60試合中28試合を消化したBリーグ。千葉ジェッツが2連覇を果たした天皇杯、熊本に元気を届けたオールスターゲームも終わり、1月18日(木)の栃木ブレックスvs滋賀レイクスターズ戦より順次、後半戦がスタートする。

残りは32試合もあり、ここまでは振るわなかったクラブだってまだまだ挽回できる再出発点。開幕1カ月(以下、開幕時)と直近1カ月(以下、直近)の各9試合の結果を比較しながら、各地区別にポジティブな要素を探っていこう。

東地区・他地区から全6クラブが2桁勝利を挙げる強豪揃い

1位 アルバルク東京 22勝6敗
2位 千葉ジェッツ 19勝9敗
3位 川崎ブレイブサンダース 18勝10敗
4位 サンロッカーズ渋谷 18勝10敗
5位 レバンガ北海道 16勝12敗
6位 栃木ブレックス 13勝15敗

今回調査した得点(開幕時:北海道83.6点/直近:川崎81点)、失点(開幕時:SR渋谷69.1点/直近:A東京62.9点)、シュート成功率(開幕時:A東京47.3%/直近:川崎48.4%)、リバウンド(開幕時:栃木40.1本/直近:SR渋谷40.8本)、アシスト(開幕時:北海道21.6本/直近:川崎21.9本)、ターンオーバー(開幕時:SR渋谷9.8本/直近:栃木11.1本)の1位は割れ、各クラブがそれぞれの部門で首位を分け合い、あらためて激戦区であることが明確となった。また、全6クラブが他地区から2桁勝利を挙げているのも東地区だけである。

開幕時より7点以上の失点を減少させているのがアルバルク東京と川崎ブレイブサンダースだった。川崎は開幕時80.2点から直近は72.3点と7.9点も失点が減っている。開幕時から70.4点ともともと失点が低かったA東京に至っては、直近は62.9点まで下げている。千葉ジェッツを49点に抑えて勝利した元日の試合は圧巻だった。直近の平均得点は75.7点であり、得失点差はなんと12.8点。天皇杯は3次ラウンドで敗れたことで、たっぷり練習できたA東京はこれからが本領発揮であり、末恐ろしい。

東地区5位のレバンガ北海道は、リーグ全体を見ればチャンピオンシップ圏内の勝率を誇る。昨シーズン同様、オーバーカンファレンスから勝利をもぎ取っているばかりではなく、上位チームからも白星を奪い、今後も台風の目になりそうだ。最下位に甘んじている栃木は、優勝メンバーのジェフ・ギブスが戻ってきたことでようやくスタートラインに立った。ここからリスタートであり、尻上がりに調子を上げていった昨シーズンの状況を踏襲できるだろうか。

中地区・ぶっちぎりの三河、追う三遠には復調の兆し!?

1位 シーホース三河 22勝6敗
2位 三遠ネオフェニックス 13勝15敗
3位 富山グラウジーズ 13勝15敗
4位 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ 11勝17敗
5位 新潟アルビレックスBB 10勝18敗
6位 横浜ビー・コルセアーズ 8勝20敗

首位に立つシーホース三河は、2位三遠ネオフェニックスに9ゲーム差をつけ、ぶっちぎり状態。直近のフィールドゴール成功率は52.4%。シーズンを通しても50.6%と18クラブ中で唯一5割を越える高確率でシュートを決めているのが好調の要因である。開幕時は8勝1敗とスタートダッシュに成功。しかし直近は5勝4敗で足踏み状態となっているのが気がかりだ。

2位の三遠は、直近の数字を見ると復調の兆しが見える。開幕時の77.9点から直近は64点と失点が大幅に抑えられている。リバウンド数も開幕時32.3本から直近40.2本へ伸ばしたことで、リーグ平均(37.4本)を上回った。後半は見違える結果に期待が高まる。

直近の結果により、得点数が失点数を上回っているのは上記2クラブに加え、富山グラウジーズと横浜ビー・コルセアーズだった。富山は開幕時から失点を7.4点も減らし、73.7点としている。また、ターンオーバーも平均14.1本から12.4本へ減少する一方でアシストは12.8本から15本へ伸びている。攻守ともにチームプレーの向上が見られ、混戦状態の下位争いから抜け出し、チャンピオンシップ出場をつかみたい。

最下位の横浜はいまだ8勝しか挙げられていないが、開幕時の66.8点から75.9点へと大きく得点が増えている。さらに失点も75.8点まで落とすことができた。たった0.1点だが、間違いなく得点の方が上回っており、勝利に近づいている証と言えよう。しかし、今シーズンもヘッドコーチは長続きせず、再び尺野将太が途中からヘッドコーチを務める羽目となった。クラブのゴタゴタが結果に現れるのは必然である。だが、早めに手を打ったことで、前半戦までとは正反対の結果を残せば、チャンピオンシップ圏内にだって割って入れるはずだ。

西地区・守備力が売りの琉球は打倒東地区の筆頭クラブ

1位 琉球ゴールデンキングス 21勝7敗
2位 京都ハンナリーズ 16勝12敗
3位 滋賀レイクスターズ 11勝17敗
4位 大阪エヴェッサ 8勝20敗
5位 島根スサノオマジック 7勝21敗
6位 西宮ストークス 6勝22敗

リーグトップの平均失点66.6点を誇る琉球ゴールデンキングスは、エンジンがかかってきた。他地区からも10勝4敗を挙げており、強豪の東地区からもすでに4勝を挙げている。各地区の首位チームであるA東京と三河とはまだ対戦がなく、初顔合わせとなるのが4月21日と22日アウェーで三河戦、翌週の4月28日と29日にはホームにA東京を迎える楽しみな連戦が待っている。3カ月先ではあるが、各クラブが首位をキープできるかどうかも見どころである。

昨シーズン最下位の滋賀は、開幕時15.7本のアシスト数が直近は20.4本へ上昇しており、チームとして成熟してきたことで現在3位と好位置につけている。シュート率が上向いたことで、平均得点も67点から76.4点に増加。だが、失点も比例して72.7点から82点まで上乗せしてしまったことで勝率が伸びていかない。ディフェンスをベースにするチームゆえに、失点の部分が改善すれば一気に勝ち星を積み上げられるはずだ。

4位以降はいまだに一桁勝利しか挙げられていない惨状である。いずれも直近は2勝7敗となかなか勝てない。最下位の西宮ストークスはターンオーバーが減り、直近は平均10本とリーグトップのミスの少なさである。だが、直近での平均失点87.6点は断トツでリーグトップであり、29.9%しか入らない3ポイントシュートも『小さなチーム』にとっては致命的と言える。

東地区は『タレント揃い』などと言われることが多いが、それだけではない。目指すべきスタイルを全員が理解しながら遂行できる『チーム力』こそが、東地区の強さである。A東京は田中大貴がいなくても年末年始の千葉戦で2連勝し、その千葉は富樫勇樹を欠いても天皇杯で日本一になった。

これまでの結果はもう過去のこと。結局はシュートを決め、相手に得点を許さなければ勝てるのがバスケットでもある。開き直って新たなページを開き、希望を持って戦い、勝利を呼び込んでいくしかない。これまで以上にディフェンスやリバウンドで歯を食いしばり、高確率でシュートを決めれば良いだけの話である。