昨シーズンの新潟アルビレックスBBはリーグ屈指のスコアラーであるダバンテ・ガードナーを中心としたチーム作りが完成形に達し、中地区優勝を収めるとともに、念願のチャンピオンシップ進出を果たした。だが、今シーズンはそのガードナーがシーホース三河へ移籍し、新たなスタイルを構築する必要に迫られた。結果的にチームは黒星を重ね、残留プレーオフ圏内でシーズンを終えることに。チームの要であり、ポイントガードの五十嵐圭がこの難しいシーズンを振り返った。
熱男チャレンジ「折茂さんに早くやってもらいたい」
──現在は外出自粛が続き、チームの活動もストップしているかと思います。どのような生活を送っていますか?
犬の散歩くらいで外出はほとんどせず、ステイホームを心掛けています。シーズン中はあまり育児もできないので、妻の助けをしています。なかなか力になれていないですが(笑)。
シーズンオフになったら、ある程度は身体を休めてから起こしていく感じなので、そろそろ動かしていこうかなという感じです。今はジムにも行けないですし、家の中でできることも限られているので、自重での体幹トレーニングなどをしようと思っています。
──ご自宅にトレーニングルームがあるわけではないのですか?
そんなに大きい家に住んでいるわけではないので(笑)。自宅でトレーニングをするのはあまり好きじゃなく、普段はジムに行くことでスイッチを入れてトレーニングしています。今はそうも言っていられないので考えながらやっていきます。
──スイッチがなくなる難しさもあるんですね。ちなみに『熱男チャレンジ』の動画を拝見しました。
いろいろなアスリートが少しでもみんなを元気つけようと思ったり、楽しんでもらおうとする活動は良いことですよね。僕は折茂(武彦)さんに回したんですけど、なかなかやってくれないので早くやってもらいたいです(笑)。
「ディフェンス力で勝てたのは昨シーズンの財産」
──シーズンの振り返りになりますが、ダバンテ・ガードナー選手が移籍したことにより、大幅な戦力ダウンが避けられない状況で今シーズンを迎えました。やはり開幕の時点で、難しいシーズンになる予想はしていましたか?
ダバンテが移籍して、シーズン前から厳しいシーズンになるのではないかと個人的には思っていましたが、予想以上に難しいシーズンになったというのが正直な感想です。
僕が新潟に来てからの3シーズンはダバンテを中心にチームを作っていました。そこから脱却しなきゃいけないということで『NEW CHALLENGE』というスローガンを掲げていたんですけど、そう簡単にはいかない、厳しいシーズンだったかなと思います。ただ、彼がいなくなったことを言い訳にはできないですし、今いる選手たちがやった結果なので受け止めなければいけないです。
──トップスコアラーが抜け、スタイルを構築するのに時間がかかったようですね。
平均30点弱の選手がいなくなったので、もっとアップテンポにして得点力を維持できるようにし、ディフェンスに関しては昨シーズンの部分をそのまま継続して、バランスを保つという考えがありました。でも、開幕戦でアルバルク東京と対戦し得点が取れず、失点も多く大敗しました。僕の中ではこの開幕戦で方向性がブレてしまったように思います。
──ロースコアゲームに持ち込むことで活路を見い出そうとしていたかと思います。ディフェンス面に関しては少なからず手応えがあったのではないでしょうか?
そうですね、勝った試合のほとんどがロースコアで、なんとか我慢比べで勝ち切った感じです。ディフェンス力で勝てたのは昨シーズンからの財産だと思います。ただ、オフェンスの部分でもっと工夫が必要でした。アップテンポを掲げましたが、ダバンテがいた部分にニック(パーキンス)をはめ込んだだけになり、スタイルがあまり変化していなかったですね。そこはポイントガードとして難しさを感じました。
「僕は結果がすべてだと思っている」
──過去3シーズンはプレータイムが平均30分を超え、五十嵐選手に負担が偏っていたと思います。Bリーグとなって初めてプレータイムを30分以下に抑えられたことは若手選手の台頭と評価してもいいのではないでしょうか?
地区優勝をした昨シーズンまでとは言わないまでも、チームがそれなりの成績を残していれば若手が成長してくれたと喜んで言えるのですが、結果が出ていないので……。僕の成績も下がってしまったので、そこは見つめ直さないといけません。僕は結果がすべてだと思っているので、正直これといった収穫はなかったシーズンだと思ってしまいます。
──かなり手厳しいですが、昨シーズンの成績が良かっただけに、そう思ってしまうのも無理はないですね。
そうですね、僕からしてみると1年目、2年目に戻ってしまったイメージです。特に昨シーズンは何も言わないでもシステムを体現できる選手が多かったので、それと比べると内容も含めて成熟度がかなり低かったと思います。今シーズンは中地区が1強で、僕らにもチャンピオンシップ進出のチャンスがあったかもしれないですけど、最終的に残留プレーオフ圏内になってしまいました。
強いて言えば、リーグの中断、無観客試合、中止といろんなことがあった中で、ブースターがいない中でのモチベーションの持っていき方だったり、中断時のコンディションの作り方は勉強になりました。
──そんな難しいシーズンは無観客試合で終わりました。来シーズンに向け、ファンの方へのメッセージをお願いします。
選手だけでは試合が成り立たず、レフェリーや会場スタッフ、そしてファンが一つになって試合ができるのだと感じました。無観客試合はホームでの試合だったこともあり、後押しや声援が本当に大きなモノだとあらためて感じました。
結果として、応援してくださるファンの皆さんにとってもモヤモヤしたシーズンだったと思います。期待に応えることができなかったことを申し訳なく思います。ファンの皆さんの声援があってこその自分たちだと気付くことができたので、また新しいシーズンが始まった時には一緒に戦ってください。期待に応えられるような準備をこれからしていきます。
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