ラッセル・ウェストブルック

ジョーダンと交流する機会を前にしても「今はいい」

2016-17シーズンのMVPに輝いたラッセル・ウェストブルックは、現役選手の中でもバスケットボール愛が抜きん出ている。

彼は以前から「コートではバスケットボール以外は友達ではない」と言い、その表情からも伝わるほど競争心が旺盛な選手だ。その性格は幼い頃から変わらないようで、『The Tonight Show Starring Jimmy Fallon』に出演した際に、バスケットボールをプレーする少年なら誰もがあこがれるマイケル・ジョーダンのキャンプに参加した時のエピソードを語った。

ウェストブルックによれば、10歳か11歳の時に参加したキャンプのプログラムをすべて終えた後、参加者はジョーダンとの写真撮影やサインをもらうために順番待ちをしていたという。しかし、その間も彼だけはボールを持ってプレーし続けていたというのだ。

「コーチからは『早くしないとマイケル・ジョーダンと写真を一緒に撮るチャンス、サインをもらうチャンスを逃してしまうぞ』と言われたけれど、自分は『別にいいよ。今はいらない』と言った。だから、その時にはマイケル・ジョーダンと写真撮影をしなかったし、サインももらわなかった。みんなが並んだ列にも加わらずに、ずっとプレーし続けていた。キャンプが終わって家に帰ったら、両親から『ボールにサインしてもらったか?』と聞かれて、『もらっていないよ。僕はピックアップゲームをしていたから』と答えたのさ」

ラッセル少年はそれから約10年後にNBA選手になり、前人未到の3シーズン連続『年間トリプル・ダブル』という偉業を達成した。今ではジョーダン・ブランドの顔の一人でもあり、2018年にオクラホマ栄誉殿堂入りという名誉を授かった際には、ジョーダンがプレゼンターを務めた。

その時、ジョーダンは壇上でウェストブルックをこう称えた。「ラッセルのような情熱を持った選手は少ない。現役時代の私は、毎試合に臨むたびにこう思った。『この会場には、自分のプレーを今までに見たことがない観客もいる』とね。それが毎試合で全力を尽くすモチベーションになった。こういう気持ちは与えられるものではなく、備わっているもの。ラッセルは私と同じパッションを持っている。それだけバスケットボールをリスペクトしているということ」

子供たちに囲まれるのが常だったジョーダンも、ウェストブルックが明かした秘話を聞いて、「あの時の少年か」と、思い出すかもしれない。