ゲイリー・ペイトン

「一度だって自分に何も言い返してこなかった」

現役時代にリーグトップクラスのガードとして評価されたゲイリー・ペイトンは、試合中に相手を苛立たせる『トラッシュトーカー』としても有名だった。

彼の鼻っ柱の強さは、ルーキーイヤーにあのマイケル・ジョーダンを挑発したというエピソードからも分かる。そのペイトンがマッチアップした相手の中で最も嫌だった選手の一人に、ジャズのレジェンド、ジョン・ストックトンを挙げた。

元NBA選手のマット・バーンズとスティーブン・ジャクソンが司会を務めるポッドキャスト番組『All The Smoke with Matt Barnes and Stephen Jackson』に出演したペイトンは、「ストックトンは一度も挑発に乗らなかった」と話した。そして無表情のまま対戦チームを打ち負かしたことから、ペイトンはストックトンを「ゾンビ」と形容した。

「ジョン・ストックトンとの対戦は嫌いだった。彼は僕を見るだけで、一度だって自分に何も言い返してこなかった。まるでゾンビだよ。そして僕はやられてしまうんだ」

ストックトンがいた頃のジャズは、1997年に球団史上初のNBAファイナル進出を果たしたものの、ジョーダンが中心のブルズに辛酸をなめさせられた。翌1997-98シーズンもファイナルに勝ち進んだが、再びジョーダンを擁するブルズに敗れた。

ストックトンは一度も優勝を味わえぬまま引退したものの、積み重ねたアシストは歴代1位(1万5,806)で、1996年にはNBA50周年を記念した『50人の偉大な選手』に選出され、2009年にはバスケットボール殿堂入りを果たした。

当時のNBAでは、ペイトンのようにストックトンの『ゾンビ・リアクション』に苦しめられた選手が多かったのかもしれない。