文=鈴木健一郎 写真=鈴木栄一

大崎と渡嘉敷、インサイドの優位が目立ったJX-ENEOS

皇后杯の準決勝第1試合、JX-ENEOSサンフラワーズとトヨタ自動車アンテロープスが対戦した。Wリーグでは9連覇中の『女王』JX-ENEOSに対し、その長い連勝を止めるなど『対抗馬』として競っているトヨタ。トーナメントでの『一発勝負』は、フタを開けてみればJX-ENEOSの一方的な展開となった。

立ち上がりから1分半で、JX-ENEOSは大崎佑圭のオフェンスリバウンドからの得点、渡嘉敷来夢のバスケット・カウントで5-0とリード。しかもこの時点でトヨタはセンターの森ムチャが個人ファウル2つ。JX-ENEOSは大﨑と渡嘉敷のインサイドの強みを最大限に生かして得点を重ね、トヨタの得点を大神雄子のミドルジャンパー1本のみに抑え、開始5分で15-2と突き放す。

トヨタはインサイドを打開して流れを呼び込むべく強引なドライブで仕掛けるも、これがオフェンスファウル連発という結果に。宮澤夕貴が3ポイントシュートを決め、その直後にスティールからのワンマン速攻も決める連続得点で24-4と20点差を付けた。

第1クォーターの終盤からトヨタはセカンドユニットが踏ん張り、安間志織のゲームメークでようやく得点が動き出すも、JX-ENEOSは崩れない。37-23で迎えた後半、大神が強引なドライブを仕掛けバスケット・カウントの3点プレーをもぎ取り、続いてはリングにアタックすると見せかけてのプルアップジャンプシュートで得点してチームを引っ張る。第3クォーター残り3分45秒、三好南穂の3ポイントシュートが決まったところで39-49と10点差に。

アクシデントにも動じず、トヨタに何もさせない完勝劇

このタイミングでJX-ENEOSは司令塔の吉田亜沙美をケガで欠いていたが、アクシデントにも動じなかった。宮崎早織がポイントカードの代役をきっちりと務め、渡嘉敷との連携からハイポストに上がっての大﨑のミドルシュートベースライン沿いへのドライブからねじ込む宮澤のレイアップが効果的に決まって、第3クォーターを終えて61-43と再び突き放す。

最終クォーター、トヨタは栗原三佳を入れて3ポイントシュート攻勢で挽回を図る。しかしJX-ENEOSは20点前後のリードを保ちながらも大﨑が「トヨタには3ポイントが決まり出したら10点20点はすぐ取り戻すチームなので、全く油断しませんでした。入るシュートもありましたが、私たちが打たせていた部分もあります」と振り返ったように、緩みは全く見せない。逆にタフショットを打たせてはリバウンドから速攻に転じてリードを広げ、78-52で完勝した。

9得点17リバウンド、インサイドの柱として存在感を見せた渡嘉敷来夢は言う。「あと40分なのでしっかりと皇后杯に向けてやってきたことを全部出し切って勝ちにいきたいと思います」

皇后杯決勝は明日、11時ティップオフとなる。