クリッパーズ

「自分の気持ちを隠すより、言い争いになる方が良い」

クリス・ポール、ブレイク・グリフィン、ディアンドレ・ジョーダン、JJ・レディック、ジャマール・クロフォード。NBAでも屈指の実力を持つプレーヤーが集まり、ドック・リバースが束ねた2013年から2017年までのクリッパーズは、クリス・ポールを始めとするガード陣が放り投げたパスをグリフィンやジョーダンが豪快なアリウープでリムに叩き込むド派手なプレーが印象的で、無冠に終わったものの『ロブ・シティ』の愛称で今もファンの記憶に残っている。

2012-13シーズンからの5年間でクリッパーズが残した戦績は273勝137敗で、平均してシーズン54勝という素晴らしい結果を残した。しかし、プレーオフではポールやグリフィンのケガが重なり勝つことができず、最高でもカンファレンス・セミファイナル止まり。2017年のオフにポールをロケッツにトレードしたのを機に、2017-18シーズン途中にグリフィンをピストンズにトレードする形で『ロブ・シティ』は解体に至った。

チーム解体後、当時のクリッパーズ崩壊の原因が多方面で聞かれるようになった。当事者だったレディックは、ポッドキャスト番組『Pardon My Take Podcast』で崩壊の原因について触れている。

レディックによれば、当時のチーム内の雰囲気は良く、「何かを成し遂げられるだけのポテンシャルがあった」ということだが、ある時期に彼が言うところの「つまらないこと」が起こり、歯車が狂い始めた。彼は、具体的な理由こそ明らかにしなかったものの、お互いに本音でぶつかることがなかった当時の雰囲気を、不機嫌な気持ちを直接的な行動で伝えるのではなく、受身的な形で表現する「受動的な攻撃」と表現した。レディック自身も「自分にも非はあった」と話す。

「自分の気持ちを隠すより、何か不満があればチームメートを名指しして本質的な問題を指摘し、時には言い争いになる方が良い。僕にも非があった。お互いがお互いを嫌いになっていたかは分からない。直接的な伝え方をしない、受動的な攻撃があったんだ」

それでもレディックは当時のチームメートと今も連絡を取り合っているという。司令塔としてチームを引っ張ったポールも、不仲が噂されたグリフィンとの関係について、「退団した今の方が、ブレイクに対する感謝の気持ちが強い」と、先日コメントしたばかりだ。

『ボタンの掛け違え』により崩壊する組織は少なくない。レディックは言う。「ドック・リバースは、いつも同じことを言い続けていた。『密接に繋がっているのではなく、長い期間を一緒にいるだけの関係だと、最終的には責任を擦りつけ合うようになる』とね」

勝負の世界は結果がすべて。もし当時のクリッパーズが優勝していたら、ウォリアーズ一強時代はなかったかもしれない。『たられば』を言っても何も変わらないとはいえ、『ロブ・シティ』クリッパーズは、それだけ魅力的なチームだった。