渡嘉敷来夢

「満足する事なくまた進化した姿を」

4月6日、2019-20シーズンのWリーグアウォードが発表された。レギュラーシーズンMVPに輝いたのは、JX-ENEOSサンフラワーズの渡嘉敷来夢だ。

新型コロナウイルスの影響によりWリーグはシーズン中止に。レギュラーシーズンは16試合を消化した時点で終了となり、プレーオフも行われなかった。そんな状況ではあるが渡嘉敷は、得点(平均21.75)とフィールドゴール成功率(68.84%)の2部門でトップに立ち、なおかつチームも15勝1敗でリーグトップの成績。さらには皇后杯でも優勝とMVPを勝ち取っており、日本女子バスケのトッププレーヤーとしての貫禄を見せた。

渡嘉敷は自身のSNSで「たくさんの方のおかげで今シーズンもMVPをいただくことができました。満足する事なくまた進化した姿をお見せできる様、引き続き頑張ります!」と受賞の喜びを語るとともに、その投稿にも #手洗い #うがい #健康第一 #STAYHOME #家にいよう と感染対策のハッシュタグを添えてファンに注意を呼び掛けている。

渡嘉敷にとってWリーグMVPは6年連続7回目の受賞となる。オリンピックでメダル獲得を狙う女子日本代表のエースであり、かつてはWNBAにも挑戦した渡嘉敷は文句なしの『世界レベル』。その実力と実績からして、Wリーグで圧倒的な結果を残すのは当然かもしれない。

それでも、コンスタントに結果を出せるのは、人一倍の努力と意識の高さがあるからこそ。明るいキャラクターでおどけているシーンが目立つ渡嘉敷だが、実力者揃いのJX-ENEOSの中でもバスケットに取り組む姿勢では誰にも引けを取らない。

渡嘉敷自身も以前の取材で「世界と戦うのと国内リーグでは全然違います」とレベルに差があることを認めるが、それでも自分を向上させ、チームとして力を高めるための努力は怠らない。「ディフェンスで相手が小さかろうが大きかろうがフットワークを使ってしっかりついていくのは引き続き頑張りたいし、オフェンス面ではもっと積極的に行きたいです。ヘルプポジションから誰か相手が来た時でもしっかりとリングに向かう姿勢を忘れずに行きたい」

2019-20シーズン開幕時点でも、試合をこなす中で自分を高めていくことへの意欲を、渡嘉敷はこう語っている。「誰がどうとかの話ではなく、自分が求めている理想が高くて、それに少しでも近づきたいんです。そのために中だけではなく外のプレーも覚えたい。3ポイントシュートがあればドライブももっと行きやすくなる。自分はドライブもできると思っているし、その武器をもっと良いものにしたい。そのために3ポイントシュートもしっかり練習して決めていきたいです」

サイズとアスリート能力に恵まれているのはもちろんだが、日々の練習から試合へのアプローチなど、毎日の真摯な努力を積み重ねているからこその今がある。渡嘉敷が大きな目標とする東京オリンピックは1年延期となってしまったが、努力を積み上げていく日々に変わりはないはずだ。