写真=Getty Images

残り1分、3点差の攻防はエンタテインメントの極み

注目カードがズラリと並ぶクリスマスゲームの中でも、もはやクリスマスの風物詩となったウォリアーズvsキャバリアーズは最も注目される一戦だ。今回は主役の一人、ウォリアーズのステフィン・カリーが足首を痛めて欠場したが、それでも『これぞNBA』というハイレベルな試合が展開された。

前半はキャブズ、後半はウォリアーズがリードするも、点差の離れない大接戦。カリー不在でケビン・デュラント、クレイ・トンプソンが得点源となったウォリアーズに対し、キャブズはケビン・ラブが相手のスモールラインナップに対しインサイドで強さを発揮して18リバウンド、攻めに転じても11本中6本の3ポイントシュートを含むゲームハイの31得点と活躍。

カリー不在のウォリアーズはナゲッツ戦の嫌な流れを引きずり3ポイントシュートに当たりが出ず、試合トータルで37本打って成功は10本のみ(27%)と低調。逆にキャブズは36本中15本成功(41.7%)と宿敵ウォリアーズのお株を奪う展開に。

だが、そんな試合展開で最も重要な得点は3ポイントシュートから生まれ、それはウォリアーズにもたらされた。第4クォーター残り2分、追い上げるキャブズに勢いがあった。レブロン・ジェームズのアタックに対し、マークにつくジョーダン・ベルに加えデュラントもヘルプに回るも止められず、92-92の同点に追い付かれる。最大9点あったリードをすべて吐き出し、試合最終盤を迎えてウォリアーズは苦しい状況に立たされていた。

続くオフェンス、デュラントが3ポイントシュートを放つもタッチが悪くリングに弾かれる。だが、ここでベルがオフェンスリバウンドをがっちりと抑え、素早くトンプソンへと展開。これまで粘り強い守備で3ポイントシュートをケアしてきたキャブズだが、オフェンスリバウンドを取られて守備陣形が崩れていた。クレイは迷いなくキャッチ&シュートの3ポイントシュートを決めて95-92と突き放す。

クレイが3ポイントシュートで魅せた後は、デュラントとレブロンの見応えあるマッチアップだ。残り1分を切って3点差、レブロンがアイソレーションでアタックする状況で、マークについたデュラントが1on1でリングまで行かせない。残り30秒、再びキャブズはレブロンに攻めを託し、今回もデュラントが対応。ドライブへの反応が一歩遅れるものの、冷静さを保ちファウルにならない距離を保ちつつ、レブロンが繰り出すレイアップの出どころを狙いブロックに成功。エンドラインを割ったボールは、ビデオ判定でウォリアーズのポゼッションと判定された。

残り20秒を切ってのファウルゲーム、トンプソンが4本のフリースローを難なく沈めて逃げ切り、99-92で勝利。

試合終了のブザーとともにレブロンとがっちりと抱擁を交わしたデュラント。試合前には「クリスマスだからって何かが変わるわけじゃない。ただの1試合だよ」と話していたが、普段とは別の種類の気合いが入っていたのは明らかだった。それでも試合後にマイクを向けられ、レブロンとのマッチアップについて質問されると、「自分のポジションを守っただけ。スモールフォワードが相手のスモールフォワードとマッチアップしただけだよ」とクールに語った。