「いつも通りに激しくやろうと思っていました」
12月24日、栃木ブレックスはブレックスアリーナ宇都宮で開催された2017年最後のホームゲームにて、琉球ゴールデンキングスに66-60で勝利。前日に敗れた雪辱を果たした。
相手の琉球は昨シーズンまで栃木に所属していた古川孝敏、須田侑太郎がオフに移籍したチーム。一昨年までアシスタントコーチを務めていた佐々宜央が指揮を執っているなど様々な因縁も加わり、いつも以上に注目を集めた試合は2日連続でブレックスアリーナ宇都宮の最多観客記録を更新する大入りとなった。
このオフに琉球から栃木へと移籍した喜多川修平にとっても、今回の2試合は因縁の試合であった。しかし、「あまり意識しないようにしていました。2年間一緒に戦っていたメンバーも残っていて、楽しみではありましたけど、そこにばかりに意識がいかないように、いつも通りに激しくやろうと思っていました」と平常心でのプレーを心がけ、2日連続で2桁得点。特に24日は試合序盤から効果的にアウトサイドシュートを沈めるなど、14得点をマークしてチームの連敗ストップに貢献した。
また、栃木から琉球へと移籍した古川は喜多川と同じポジションで、まさに入れ替わる形となった。その点について尋ねると「周りからはいろいろと言われましたけど、僕自身は意識していないです。僕は僕でという感じです」とコメント。ただ、この2日間については古川と同等、もしくはそれ以上のパフォーマンスを見せていたのではないだろうか。
12月に入り本領発揮、2桁得点の試合を増やす
64-74で敗れた前日と比べると「気持ちの部分の違いが大きかったです」と喜多川。「戦術面ではオフェンスリバウンドに飛び込まれていたのを修正する。激しくディフェンスし、前から当たっていくことを40分間できていたのが違っていました」
「(オフェンスでは)昨日の試合だとインサイドにボールが入った時、周りの動きが止まってしまった。今日はしっかり修正して、インサイドに入った時に連動した動きで、フリーになった時にライアン(ロシター)がパスをくれました。昨日の修正が生きました」
このように勝因について語る喜多川は、さらに「チームが勝って本当に良かったです。勝利に貢献できたのはうれしい。苦しい試合が続いて、なんとか勝ちたいと思っていたので、そこはホッとしています」と安堵の表情を浮かべている。
シーズン当初は、持ち味であるキャッチ&シュートの場面が少なく消化不良で終わる試合が少なくなかった喜多川であるが、12月に入って本領を発揮してきている。今回の2試合を含め、12月に入っての9試合のうち6試合で2桁得点を挙げ、この間の平均得点は11.4。一方、開幕から11月までの17試合では2桁得点がわずか5試合のみ。数字の面でも充実ぶりは明らかだ。
「リバウンダーを信じて打っています」
この成績アップの要因について喜多川は、シーズン当初に比べ思い切り良い打てていること。そして自分が点を取らなければという、意識の変化を挙げる。
「開幕の時とかは『ここで打っていいのか?』と、いつもなら打つタイミングでもパスを回した方がいいのかと思うなど、変な考えを持っていました。ただ、チームが苦しい状況になってきた時、どこで点を取るのかと考え、自分がしっかり取らないといけないと意識的に練習から取り組めていることで良くなってきています。ヘッドコーチからも、空いたらもっと打って行けと言われていますし、チームにはリバウンダーがたくさんいるのでそこを信じて打っています」
本人曰く「まだ状態は80%」ではあるが、ゴール下で頼りになるジェフ・ギブスが復帰し、栃木の持ち味であるインサイド陣は昨シーズンと同じ陣容に戻った。このゴール下の強みをより生かすためには、アウトサイドとのバランスのとれた攻めが必要。だからこそ、チームでも屈指のアウトサイドシュート力を持っている喜多川のさらなる活躍は、『逆襲のブレックス』を達成するための重要な要素となってくる。