コービー・ブライアント

2008年のファイナル敗退の悔しさを忘れないために取った行動

コービー・ブライアントがヘリコプターの墜落事故により急死してから、早2カ月が経った。

彼の死後、関係者が多くのエピソードを明かしている。WNBA優勝3回、オリンピック4大会でアメリカ女子バスケットボール代表の金メダル獲得に貢献したスー・バードも、その一人だ。

バードはインタビューを受けた際にコービーとの思い出を聞かれると、2008年の北京オリンピックでの出来事を挙げた。

「コービーと初めて会ったのは2008年の北京オリンピックの時。北京オリンピックは、レイカーズがNBAファイナルでセルティックスに負けた2カ月後に開催されたの。ある晩に代表選手同士でトランプをしたり、ワインを飲みながら交流した日があったわ。そこでコービーはレイカーズとセルティックスのシリーズについて書かれていた新聞を読んでいて、そこにはポール・ピアースがガッツポーズをしている写真も載っていたの。コービーは一言も発せずに、ポール・ピアースの写真部分を切り取ってポケットにしまっていたわ。その時に彼が『モチベーションさ』と言ったのが印象的だった」

2007-08シーズンのセルティックスは、ピアース、ケビン・ガーネット、レイ・アレンによるビッグ3を中心に、22年ぶりの優勝を果たした。ピアースはファイナル第1戦で膝を痛めながらも最後までプレーし続け、ファイナルMVPにも輝いた。

宿敵に優勝を阻まれたコービーは勝利に対する意欲がいっそう高まり、翌シーズンからレイカーズは2連覇を達成した。2009-10シーズンのファイナルでは2年前に敗れたセルティックスを第7戦の末に撃破し、リベンジに成功している。

北京で新聞記事を目にしたコービーは、あらためて雪辱を誓ったに違いない。バードが12年前の夏に遭遇した瞬間は、NBA選手の中でも人一倍負けず嫌いだったコービーの性格を表すエピソードだ。