文=丸山素行 写真=小永吉陽子

高さの不利を上回った粘りとオフェンスリバウンド

ウインターカップ2017が開幕した。互いにU-16女子日本代表選手を擁する精華女子と県立足羽が早くも1回戦で激突。最終クォーター残り11秒、1点ビハインドの場面で、清水利祐子がミドルシュートを沈めた精華が81-80で接戦をモノにした。

第1クォーターは速さと巧さを兼ね備える樋口鈴乃と三浦舞華(U-16)の1年生コンビが躍動した精華がリードする。スピーディーな展開に持ち込み、速攻から得点を重ね樋口が10得点、三浦が9得点を挙げ25-17と先行した。

だが足羽は身長180cmを超える2選手が高さの利を生かしミスマッチからインサイドで加点。リズムをつかむと速攻も連発して43-43と追いついた。後半に入っても足羽のペースは続く。林未紗(U-16)がドライブやストップ&ジャンプシュートを高確率で沈め個人技で打開。第3クォーターわずか5分の出場で14得点の荒稼ぎを見せた林の活躍もあり、足羽が8点をリードして最終クォーターを迎えた。

それでも精華はルーズボールでハッスルし、オフェンスリバウンドに飛び込むなど、アグレッシブなプレーで点差を縮めていく。残り6分30秒、キャプテンの梶原志保が指を負傷してベンチに下がるも、ここで残った選手たちが信条とする粘り強いディフェンスで踏ん張る。特に第3クォーターだけで14得点を許した林には、ディナイで張り付きボールを持たせないようにし、フリースローによる2点のみに封じた。

こうして苦しい状況で同点に追い付くと、残り2分20秒で梶原がコートに戻って来る。最後までリードチェンジを繰り返す展開になったが、残り11秒でパス交換からズレを作り、清水利祐子のミドルシュートで81-80と精華が勝ち越した。ラストプレー、インサイドに切れ込む県立足羽の攻めに対し、ファウルギリギリのプレッシャーとダブルチームでボールを奪取し、守り切った精華が接戦を制した。

ここまでの練習を信じ、「戦術は変えなかった」

精華を率いる大上晴司コーチは勝因をこう振り返った。「オフェンスリバウンドなどで相手の高さを上回って、ルーズボールを取れたのが最後の1点の勝負になったと思います」

精華はほとんどの選手がミスマッチになるなど、高さで大きなディスアドバンテージがあった。それでもそれを相殺する意識の高さと運動量で、オフェンスリバウンドの数は14と互角となった。

オフェンスリバウンドに意識が行きすぎて、速攻を許したシーンが何度か見られたが、「オフェンスリバウンドに行かないと攻撃の回数が増えないです」と大上コーチは方針を変えなかった。それでも相手のエースに対する守り方は試合中に変えている。「ボールを持たれる前の守り方と、持たれた後の守り方をもう一回確認して、エースの林選手の守り方を修正しました」。これで林の得点ペースを抑えたことも勝因の一つだ。

「自分が引っ張るしかない」

梶原は「接戦だったから正直ドキドキしたんですけど、ベスト8になるためにずっと頑張ってきたのでまず1勝できて安心してます」とホッとした様子。最終クォーターに負傷し、緊迫した終盤にコートに戻ってきた。「自分がベンチで休んでる時に1、2年生が頑張ってくれてたから、1秒でも早く戻ってみんなを引っ張らないとと思ってました。先生にもコートに戻るときによろしくなって言われたので。だから自分が引っ張るしかないと思ってました」

1回戦を突破した精華は2回戦で大阪桐蔭と対戦する。桐蔭はインターハイ初戦で対戦し、52-99と完敗した相手だ。ウインターカップ前にも桐蔭と練習試合をしたが、「全部で2試合以上やりましたが、10分ゲームに一回勝っただけです」力の差はまだ埋まっていない。

それでも「この桐蔭に勝たなければベスト8にはなれないので、40分間チャレンジし続けて勝ちたいと思います」と意気込みを語った。ライバル同士の対戦は、明日9時にDコートで試合開始となる。