文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

島根は開始直後に渡邊翔太を欠くアクシデントに沈む

島根スサノオマジックと滋賀レイクスターズの金曜ナイトゲーム。前半は競った展開になったが後半に滋賀が突き放して90-78、力の差を見せ付けた。

島根はこの試合の前まで6勝18敗と大きく負けが先行していたが、ホームでは5勝4敗と勝ち越し。平日夜に集まった2052人の観客に後押しされ、必勝の気迫で臨む。ところが、試合開始直後にアクシデントが起きる。強気のアタックでゴール下に突き進んだ渡邊翔太がレイアップを放った際、ブロックに跳んだディオール・フィッシャーと衝突。頭を強く打った渡邊が起き上がれない間に数的不利を突かれて先制点を奪われ、渡邊は脳震盪で続行不能に。開始1分で先発ポイントガードを失うことになった。

逆に滋賀のポイントガード、並里成が絶好調。ピック&ロールから卓越したボールハンドリングで島根のディフェンスを翻弄し、自分に注意を引き付けてはフィッシャーやファイ・サンバにゴール下でのイージーシュートのチャンスを作り出す。そこに意識を向ければ今度は長谷川智伸の3ポイントシュートと、並里は自分の個人技からズレを作って試合をコントロールした。

それでも滋賀はタイラー・ストーンと相馬卓弥を中心に反撃し、第1クォーター終盤から第2クォーターにかけて12-0のラン。しかし、相馬がファウルトラブルに陥ると思い切りの良さを欠いてしまい失速してしまう。そして第3クォーター、3ポイントシュートを狙う島根の意図を呼んだ滋賀のディフェンスが冴え、その3ポイントシュートを3本しか試投させず、2点シュートも12本中3本成功(25%)と抑え、ターンオーバーを得点につないで22-10と圧倒。

「ディフェンスでハッスルできた」結果の勝利

63-48と突き放して迎えた第4クォーター、ストーンとジョシュ・スコットの強引な攻めを止められず苦しむも、並里のアシストは最後まで冴えに冴え、2桁のリードを守り続けた。

並里はラスト10分でも4アシストを挙げて、リーグ新記録の14アシスト。それでも試合後は「後半、皆でリバウンドやルーズボールなどディフェンスでハッスルできたのが、勝利につながりました」と、自身のアシストよりも積極的に戦ったチームを称えた。

また長谷川智伸はシーズンハイの23得点を記録。3ポイントシュートは3本すべて成功、さらに積極的なアタックから12本のフリースローをもぎ取り、うち10本を成功させる活躍ぶりだった。長谷川は島根県出身。Bリーグ以前はNBLの三菱に在籍し、昨シーズンは島根がB2で対戦機会がなかった。「プロになって初めて地元でプレーして、知り合いも多く駆けつけてくれた中でいいパフォーマンスが見せられてよかった」と『ホーム』での活躍を喜んだ。

第2戦は今日14時5分から、同じく松江市総合体育館で行われる。渡邊は脳震盪で今日の試合にも出られないことが決まっている。第1戦は渡邊を欠いた後、日本人選手に元気がなかった島根。ファウルトラブルで不完全燃焼に終わった相馬、そしてポイントガードの岡本飛竜、山本エドワードの奮起が求められる。