文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

「相手よりも激しさを持って40分間やり続けれられるか」

栃木ブレックスは東地区首位を走るアルバルク東京と対戦。激闘を演じるも連敗を喫した。シーズン序盤の不振を乗り越えてこのところチーム状況が上向いていたが、6カードぶりとなる同一カードの連敗。安齋竜三ヘッドコーチは「A東京さんの強さというのをまざまざと感じました」とコメントしていた。

キャプテンの田臥勇太も「A東京さんは特にディフェンスで40分間激しくプレッシャーをかけ続けるチームで、やっぱり素晴らしいと思います」と相手を称えている。「こういうチームを相手にした時にどう対応して、相手よりも激しさを持って40分間やり続けれられるのかを、また学べた試合でした」

栃木は序盤、A東京を上回る激しいディフェンスで先行するも、最終盤に逆転を許した。最初から最後までハードワークを継続するという、田臥が日々言い続けていることをA東京が体現した結果だった。

終盤まで競り、最後に力尽きたものの、敗因を見つけるのが難しいくらい、差はわずかなものだった。

「どれか一つというのは難しく、局面局面でできる時もあればできない時もあったり、それはお互いだと思います。ただ結果的には最後の最後まで東京さんのほうが大事なところでディフェンスを頑張ったり、決めきったり、そういうところの差でした」

逆に、東地区で首位を走るA東京を相手にこれだけのパフォーマンスができたことは、今後のリーグ戦を戦う上での収穫と見ることもできる。「ヘッドコーチが求めているバスケットが、試合を重ねるごとに実行できるようになってきていますし、日に日にまとまりが出てきています。下を向く必要はないし、全員で一つになってブレックスの目指すバスケットを1試合1試合積み重ねて形にしていきたいと思っています」

「ブロックされないように頑張ります」

A東京と栃木、その差をあえて探すとしたら、勝負どころで決定的な仕事をするタレントの有無だった。A東京では田中大貴が第1戦で10アシスト、第2戦でゲームハイの20得点を挙げている。スタッツ以上に、勝敗を左右する場面で自ら責任を取っていく意気込みを見せ、それをチームの勝利という形につないだ。

その田中大貴について田臥は「さすが」と称賛する。「彼の集中力というのはこの2試合すごく感じましたし、さすがだなって思いましたね。チームのエースとして自覚を持って、オフェンスもディフェンスも昨シーズンより違うと感じました」

田中は日本代表の中心を担う選手の一人。その成長は、そのまま日本の成長にもつながる。「対戦相手ですけど、そういう成長は僕はすごくうれしい」という田臥の言葉は印象深かった。

そんな田中に勝敗を左右するチェイスダウンブロックを食らった田臥は、「次はブロックされないように頑張ります」と笑顔で話し、記者たちの笑いを誘った。

田臥はどんな試合でも基本的に表情を変えず、真摯にインタビューに応える。敗戦後に笑顔を見せるのは珍しいことだった。敗れたとはいえ、試合が終わってみれば田中の成長を肌で感じられたことが、試合の充実感へと変わったのかもしれない。

田臥は日本バスケ界の成長を歓迎しつつ、これからも戦い続ける。