文・写真=鈴木栄一

ファジーカスを守備で抑え、攻めに転じては28得点

12月16日、千葉ジェッツは船橋アリーナで開催された川崎ブレイブサンダースとのホームゲームに79-57で快勝。前半を終えて2桁のリードを奪うと、第3クォーター終了時にはリードを20点以上に広げる完勝だった。

最大の勝因は、40分間を通してハードなディフェンスをできたこと。その中であえて個人にフォーカスを当てるなら、ギャビン・エドワーズが最も輝いていた。リーグ最強ビッグマンであるニック・ファジーカスに対峙し、彼に大暴れを許さないディフェンスを披露すると、オフェンスではゲームハイの28得点をマーク。

特に前半のプレーは圧巻であり、前半だけで19得点。さらに千葉の最大の武器であるディフェンスからの素早いトランディションによる速攻からのアタックで、バスケット・カウントを5本も奪取。チームに大きな勢いを与え、相手の精神面にスコア以上のダメージを与える立役者となった。

「ディフェンスの面で特に良い入りができて、それをキープすることができた」と勝因を語るエドワーズは、バスケット・カウント連発を「いつでもリングに向かう時はファウルをもらいに行こうとしている」と説明した。

また、ファジーカスとのマッチアップについて「彼は偉大な選手で、とてもスキルがあり様々な方法で相手を負かすことができる選手だ。僕ができるのはハードにディフェンスし、しつこくマークしていくこと。ただ、彼を相手にするのはとても疲れるね」と、タフショットを決められても冷静さを失わず、自分のできることを継続していくことと考えている。

新天地ジェッツでは名実ともにビックマンの柱に

千葉の外国籍選手といえば、数週間前にトニー・ガフニーが退団し、新たにレオ・ライオンズが加入。ライオンズは合流したばかりであり、彼自身がどんなプレーでチームに貢献していくか、他の選手たちもその持ち味をどう生かすか、模索している段階であるだろう。

それでもエドワーズがゴール下における絶対的な柱ということに変わりはない。ガフニーは外角シュートを武器とする選手だったし、新戦力のライオンズもリングから離れた位置でボールをもらってからの仕掛けを得意とする。身長はエドワーズと同じ206cmでも、ゴール下を主戦場とするタイプではない。

日本での実績は申し分ないエドワーズであるが、昨シーズンまで所属していたシーホース三河には桜木ジェイアール、アイザック・バッツと実績十分のビッグマンがおり、中心選手ではあってもエースではなかった。しかし、今シーズンから加入した千葉においては、名実ともにビックマンの柱となっている。彼がどれだけチームから大きな信頼を得ているかは、外国籍選手の入れ替えにおいて、ビッグマンタイプの選手を加えなかったことからも明らかだ。

堅守速攻を支える、機動力のあるビッグマン

このような状況が示すように、タレントが豊富なジェッツにおいてもエドワーズはチームの大黒柱となっている。そのことを質問すると、謙虚な彼は、「チームには多くのゴー・トゥー・ガイがいる。富樫(勇樹)はいろいろなプレーでスコアできる。(小野)龍猛はポストアップがうまいし、シュート力もある。原(修太)や石井(講祐)は3ポイントが得意だし、阿部(友和)に(西村)文男と優れたバックアップのポイントガードもいる。みんな能力があり、チームとしていろいろな攻め方を持っているよ」と語る。

同時に『インサイドの柱』としての自覚も強く持っている。「三河にいた時よりも大きな責任を担っているとは思うし、それに対する準備はできている。今までとメンタルに違いはない。プレシーズンの段階で、コーチから自分がビッグマンのメインだと言われていたからね」

千葉の得意とする堅守速攻のスタイルは、リバウンド、ブロックとゴール下の守備を支え、さらに速攻のフィニッシャーとしても頼りになる機動力と跳躍力を備えたエドワーズのプレーがあってこそ。それを改めて示した快勝劇だった。