主力の故障など様々な困難を乗り越え、アルバルク東京は新型コロナウィルスによるリーグ中断前の時点で30勝9敗とリーグ1位タイの成績を残した。しかし、開幕前の馬場雄大のアメリカ挑戦、小島元基の故障離脱によってオフェンスの根幹であるピック&ロールから仕掛けるボールハンドラーの役割を安藤誓哉、田中大貴の日本代表コンビに大きく依存しているのは、リーグ3連覇に向けて改善したい要素だ。ベンチメンバーのステップアップが求められる中、注目したいのが特別指定で加入した神奈川大学3年生の小酒部泰暉だ。
圧倒的な身体能力を持ち、縦への突破力にも優れ、今の大学生世代では随一の得点力を見せていた小酒部だが、ここまでプレータイムを得るのに苦戦している。しかし、試合にインパクトを与えられる才能の持ち主であることは間違いない。シーズン終盤戦、王者の底上げを担うキーマンにチーム加入からここまでの振り返り、そしてこれからへの決意を聞いた。
「練習でレベルアップできる良い機会となりました」
──予想外の形で中断期間に入ってしまいましたが、どういう気持ちで過ごしていましたか。
リーグ戦が中断したのは仕方がないですが、モチベーションの部分で難しいところもありました。ただ、これまでルーキーとして足りていないところばかりだったので、練習を積み重ねられたことで学べた部分もたくさんあります。試合がないのは残念でしたが、練習でレベルアップできる良い機会となりました。
──A東京はリーグ随一のタレント集団です。トップ選手たちとマッチアップする楽しさ、やりがいはありますか。
やっぱり、田中大貴選手はピック&ロールがすごいですね。ディフェンスでついていてもズレを作るところは、本当にお手本にしています。1対1をやっていても緩急の使い方が上手いんです。自分もズレを作るのは得意だと思っていましたが、全く敵わない。だからこそ1対1をしていても楽しいです。ただ、負けたくない気持ちもあるので、どんどん挑んでいきたいです。
──ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチの印象を教えてください。
基本を細かく指摘されることが多くて、すごく自分のためになります。ただ、練習が厳しいことは想定していましたけど、ここまで言われるとは思っていなかったです。それでもそういった小さな違いが、最終的に大きな違いになっていくことは分かります。指摘される通りなのでルーキーとしてしっかり真摯に受け止めています。
──A東京は練習の強度もかなり高いと聞きますが、慣れるのに苦労しましたか。
最初の頃はバスケットボール、ウエイトの両方とも本当にキツかったです。フィジカルだけでなくメンタルもキツくて、予想以上の厳しさがあります。最近は慣れてきましたが、まだキツいです(笑)。
「泥臭い部分が自分の最大の武器」
──他チームでは特別指定の選手が多く活躍しています。学年は1つ違いますが、焦りはありますか。
試合に出ているのはうらやましいですけど、アルバルクにはアルバルクの方針があります。焦りは特にないです。ただ、もっと試合に出て絡みたい思いは常に持っています。天皇杯の時も加入したばかりでしたけど、出たかったです。ああいう大舞台で活躍できるように、もっとチームにアジャストしていきたいです。
──シーズン終盤に向けて、試合に出たらどんな役割でチームに貢献していきたいですか。
最近はフィジカルもついてきて、ピック&ロールもより使えるようになってきていると思います。ただ、ルーズボール、リバウンド、激しいディフェンスと、そういう泥臭い部分が自分の最大の武器です。それにオフェンスではピック&ロール、オフェンスリバウンドなどで少しでも貢献できればと思っています。
──あらためてリーグ再開に向けた意気込みを教えてください。
楽しみが大きいです。試合に出た時にどれだけ自分のプレーができるかを考えています。加入当初に比べると落ち着けるようになって、自信もつきました。ローテーションに入って安定した出場機会を獲得したい思いはあるので、ルカヘッドコーチに向けて「自分を使ってほしい」という気持ちは前面に出していきたいです。チームとして試合に勝つことが大前提ですが、その中で勝利に少しでも貢献できるようなプレーヤーになっていきたいです。