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フリーエージェントにならずロケッツへ移籍

今夏クリッパーズからロケッツにトレードされたクリス・ポール。プレシーズン中に負ったひざの負傷により開幕後に出遅れたが、復帰後はすんなりと新たなチームに馴染んで勝利に貢献。ロケッツは9連勝でリーグ首位に浮上した。

今夏に話を戻すと、ポールにはクリッパーズとの契約最終年を破棄してフリーエージェントになる選択肢もあった。結局はプレーヤーオプションを行使せずにロケッツに移籍したのだが、フリーエージェントになったら今頃どうなっていたのだろうか。当時、ポールの獲得に本腰を入れるという噂が出ていたのはスパーズだった。

幻に終わったスパーズ移籍について、クリッパーズでチームメートだったジャマール・クロフォードが、『USA Today』のサム・アミックが司会を務めるポッドキャスト番組に出演した際、これまで公になっていなかった情報を明かした。

クロフォードは「クリスが聞いた話だけれど」と前置きしつつ、「ポップがあと数年でスパーズのヘッドコーチを勇退するという話を聞いたらしい。そんな話を聞けば、クリスも不安になるさ」と、続けた。

「ポップ」ことグレッグ・ポポビッチは、1996年からスパーズのヘッドコーチを務めており、NBA優勝5回を達成。ティム・ダンカン、トニー・パーカー、マヌ・ジノビリの『ビッグ3』を軸に王朝時代を築いた。2016年からはアメリカ代表のヘッドコーチを兼任するなど、68歳の今も精力的に活動している。

クロフォードが語ったように、ポポビッチがあと数年で本当にスパーズのヘッドコーチを勇退するかは分からない。ただ、遅かれ早かれ、コートを離れる日は必ずやって来る。もしポールが優勝の可能性を感じてスパーズに移籍しても、名将ポポビッチがヘッドコーチを退いてしまったら、スパーズは全く別のチームに変わってしまうリスクがあった。ポールが移籍を躊躇ったとしても不思議ではないだろう。

そしてポールはジェームズ・ハーデンとのプレーを選んだ。そして、開幕前の時点では懸念されたケミストリーも形が出来上がりつつある。カワイ・レナードとポールのデュオも魅力的だが、いずれにしても終わった話。現段階では、ロケッツへの移籍が正解だったと言えるのではないだろうか。