ファウルトラブルが敗因となった第1戦から『修正』
金曜と土曜で行われたレバンガ北海道vs名古屋ダイヤモンドドルフィンズは1勝1敗という結果に終わった。それでもホームの北海道から見れば、不利な条件の中で粘りに粘った末の敗戦を受け、その翌日の試合で課題に対して見事な『修正力』を見せて勝ったことで、収穫の大きな2日間だったと言える。
北海道は第1戦、61-52とリードして迎えた最終クォーターに試合をひっくり返され、延長戦の末に敗れた。敗因は外国籍選手のファウルトラブルだ。グレゴリー・ウィッティントンをケガで欠く状況、終盤にマーク・トラソリーニとダニエル・ミラーが揃ってファウルトラブルとなり、ここを集中的に突かれて第4クォーターに逆転されてしまう。ここから折茂武彦を中心とする驚異的な粘りで延長戦に持ち込んだが、ここでトラソリーニとミラーが相次いでファウルアウト。外国籍選手不在となってはさすがに持ちこたえられず、89-92で競り負けた。
金曜ナイトゲームから翌日14時開始の試合。疲労を取り除くにも対策を打つにも時間が足りない状況だが、北海道は素晴らしいプレーを披露した。まずは立ち上がり、「昨日は何もできなかったので積極的に行くと決めていた」と言う関野剛平がいきなりロング3ポイントシュートで先制パンチを浴びせると、その後も鋭い出足を生かした速攻とオフェンスリバウンドで名古屋Dを圧倒。関野がスティールからワンマン速攻を決めるまでの約5分半、名古屋Dに何もさせずに13-0と大きくリードした。
名古屋Dも遅ればせながら目覚めて反撃を開始するが、関野が作った勢いを第2クォーターには多嶋朝飛が引き継ぎ、この2人だけで前半29得点と爆発。多嶋は前日のゲームを終えて「しっかりと戦えた、で終わらせては成長がない。どんな状況でも試合を勝ちに持っていく方法を見いだしていく」と語っていたが、その通りの出来に。北海道は前半を44-32で折り返し、後半もほとんどの時間帯で2桁のリードをキープする。
ゾーンディフェンスで名古屋Dの思惑を砕く
第1戦の反省を受けてのポイントは、トラソリーニとミラーのファウルを溜めさせないこと。名古屋はジャスティン・バーレル、クレイグ・ブラッキンズ、ジェロウム・ティルマンと強力な外国籍選手トリオを擁しており、彼らにインサイドでアタックさせることで、北海道の2人にプレッシャーをかけようとした。
これに対し、北海道はゾーンディフェンスを多用。前日の延長戦、外国籍選手不在の状況でも効いていたゾーンを最初から使い、名古屋Dのオフェンスを停滞させるとともに、外国籍選手同士の1on1の状況をできるだけ作らせなかった。この結果、名古屋Dのペイント内の得点はわずか20と伸びなかった(北海道は36)。
終盤、インサイドの攻めが機能しない名古屋Dは強引に外からのシュートを狙っていくが、北海道はこのケアも怠らずプレッシャーを与え続ける。残り4分20秒、ドライブでバーレルとブラッキンズの注意を引き付けた松島良豪が背後のスペースに飛び込むミラーにパスを送りアリウープを演出して75-58。その後は試合のテンポを落として時計を進め、名古屋Dに反撃のきっかけを与えないまま2桁点差をキープ。残り3分あまりのところでトラソリーニが4つ目の個人ファウルを取られるも、もはや大勢に影響はなく、北海道が79-69で勝ち切った。
「チャンピオンシップ出場に向け全員で進む」
水野宏太ヘッドコーチは「リバウンドを積極的に取りに行き、オフェンスリバウンドを多く取ることができ、セカンドチャンスから得点につなげられた」と勝因を語った。
これで北海道は11勝10敗と『貯金生活』に戻った。北海道が籍を置く東地区は、降格した仙台89ERSと秋田ノーザンハピネッツに代わり川崎ブレイブサンダースとサンロッカーズ渋谷が編入され、『激戦区』の言葉では足りない状況になっているが、序盤戦でつまづいた栃木ブレックスを押さえて東地区5位をキープ。B1全体で見れば勝率52.4%は18チーム中8位と上々の数字。
東地区内での対戦成績は3勝6敗だが、オーバーカンファレンスの試合では8勝4敗と貯金を作っているのが勝ち越しの理由。もっとも、チームの目標はB1残留ではなくプレーオフ進出で、そのためには東地区のライバル相手にも勝っていく必要がある。水野ヘッドコーチも「チーム全員で切磋琢磨して、チャンピオンシップ出場というチームの目標に向かって全員で進んでいきたい」と意気盛んだ。
名古屋Dは張本天傑が代表に参加していた影響か少々元気がない。また試合の要所で抜群の勝負強さを見せるティルマンがプレータイムを減ったことで持ち味を出せずにいることも気がかり。8勝13敗で中地区5位に沈むチームには、何らかの刺激が必要だろう。