宇都宮ブレックスを指揮する安齋竜三、リーグ中断期間にも姿勢はブレず「戦う準備をするのが仕事」

宇都宮ブレックスを指揮する安齋竜三、リーグ中断期間にも姿勢はブレず「戦う準備をするのが仕事」

2020/03/10

安齋竜三

Bリーグは新型コロナウィルスの影響でリーグ戦が延期になった。各チームにとっては日本代表戦による中断も含んで予期せぬ『準備時間』を迎えることになったが、リーグ再開を見据えればここを有効に活用できるかどうかが大きなカギとなる。このネガティブな期間をどのようにプラスに活用できるか。初年度以来の優勝を目指す、宇都宮ブレックスの安齋竜三ヘッドコーチに話を聞いた。

「後半戦の戦い方はかなり重要」

──予期せぬリーグ中断となりましたが、チームはどのように過ごしていますか? また日程が延期になったことでレギュレーションが変更される可能性も出てきました。

代表組は身体のコンディションを整える時間に充て、他のメンバーは個人スキルをもう一度やり直しました。日程の調整が厳しいからこそレギュラーシーズンが今まで以上に大事になってきます。そこに向けて自分たちの足りない部分を埋め、もうちょっと先で良いと思っていた部分を少しずつやり出しています。

僕らは激戦の東地区なので1敗しただけで順位が変わります。まだどうなるか分からないですが、それでも僕としては東地区の1位にならなきゃいけないと考えています。ここから残り21試合のうち17試合が東地区のチームとの対戦で、どのチームとも潰し合いになります。そこでどれぐらい勝っていけるかが本当に大事です。

連勝すれば一気に有利になり、2連敗した時点で脱落する可能性もあって、そういう意味では緊迫した戦いが続くんじゃないかと思います。当然ですが、ここから先のレギュラーシーズンの戦い方はかなり重要になります。

安齋竜三

「やることをやってできた時の充実感の方が絶対に楽しい」

──現在チームは30勝9敗で東地区1位です。ここまで勝った試合でも「危機感を持たないといけない」など、チームに向けては厳しい言葉が多かった印象ですが、ここまでの出来はどう評価していますか。

正直、成績は良いと思います。開幕2連敗から始まって、ビッグマンが不在の時期は全敗してもおかしくない状況で5連勝できました。

ただ、僕自身は求め続けることが僕の仕事だと思っているんですよ。もちろん勝ったらうれしいです。でも最後に喜ぶことができるのは優勝した1チームしかないわけです。今喜んでそういうのを見失うのが怖いです。勝っているから良い状態なのかと言ったらそうでもなかったり、そこを常に詰め続けるのが僕の仕事なので、そういった発言になりますね。

選手からしたらちょっとキツイかなっていうのも、もちろん分かっています。勝っているのにキレられてみたいな。それは理不尽に思われるかもしれませんが、その積み重ねが結局は最後の結果に繋がるというのが僕の考えです。そこを妥協したら「ヘッドコーチって何?」という話になってしまいます。

それでも、もしかしたら勝っているならヘッドコーチも喜んだ方が、選手は次も良いパフォーマンスが出せるのかもしれません。この考え方が良いのか悪いのかは、僕自身にも分かりません。でも、そこはヘッドコーチとして経験が浅いことを言い訳にはできないし、ダメだったらもちろんクビです。チームを勝たせる義務を背負っているつもりです。その義務を全うするために、今のやり方を選択しています。

──チームの勝利のために、時には嫌われ者になることも厭わないということですね。それってしんどくないですか?

もちろん怒るのにもパワーが必要ですし、勝ったら素直にワーワー喜びたい気持ちもありますよ(笑)。でも、これがヘッドコーチの仕事ですからね。

負けている時期はブレックスらしくないとか、楽しくなさそうとか言われたりもしました。どんなリーグやスポーツでも気分が落ちる時期は絶対にあると思います。でも、そうやって見られるのはプロとして失格かなと思うんです。厳しさの先に楽しさがあると思っていて、やることをしっかりやってもいないのにただ楽しくやっているのではただの趣味じゃないですか。やることをやってできた時の充実感の方が絶対に楽しいと思っています。

安齋竜三

「始まった時のために僕らは準備をしている」

──あらためてリーグ戦が延期になり、チームとして直面している問題は何かありますか?

いつ再開するのか分からない状況でやっているので、モチベーションを保つのは難しいですよね。試合では相手がいて、勝ち負けがあって、その中で自分がどうなのかというのを確認できますが、チーム内の練習だけだとお互いに分かっている中でやっているので、そういうのが見えてこなかったりします。

僕らは戦う準備をするのが仕事で、選手のモチベーションを保つこともその一つです。違う相手とやるだけで気分が変わります。選手に飽きさせないことも大事なので、練習も長くしたり短くしたり、メニューもゲーム形式だったり細かい部分をする日に分けたりはしています。ただ身体動かして疲れて終わり、ということにならないように。

ここに来て佐々(宜央)が入ってくれたことで、個人練習が多くなっています。選手の人数に対してアシスタントコーチが足りずに、一つのワークアウトを4人も5人もいると良い練習にならなかったりする状況があって、練習の前後に個人練習をする文化も少しずつなくなってきていました。ただ、自主練って言われてやるものではないので。

チーム練習の後に全員がやるのでは時間がかかる、じゃあ何人かは練習前にやろう、みたいな時間の管理が、佐々が来て良くなっています。もう一つは個人練習の内容で、ウチのセットオフェンスで、前の試合ではピック&ロールからここにパスを出したけど、別の選択肢がどれだけあったのかを選手に考えさせるとか、それがすごく意味のあるワークアウトだったりします。

僕は自分で言ってやらせるのが好きじゃないんです。たまに言うのはいいけど毎回は言いたくない。選手が自主的にやって、アシスタントコーチがサポートして、僕はそれを邪魔したくない。僕自身がアシスタントコーチだった時に、途中でヘッドコーチに口を挟まれるのが好きじゃないのもありましたし。でも、そうしていかないと強くなりません。そのワークアウトが試合に出て、選手のパフォーマンスに繋がることはすごく大きいし、コーチ陣にとっても喜びです。

──選手やコーチたちも大変だとは思いますが、試合が見れないファンも寂しい思いをしています。そんなブレックスロスが止まらないファンに向けてメッセージをお願いします。

仕方がないとしか言いようがない今の状況で、ファンの方にお会いできない日々が続いています。みんな我慢していると思いますが、始まった時のために僕らは準備をしているつもりです。リーグ戦が再開してからの試合はすごく大事になってくるので、今は試合が見れずに溜まっているファンの方たちには再開した時にそれを爆発させて応援してもらいたいです。

僕らは『生き甲斐』と思ってもらえるゲームを残りの21試合でやれるように頑張っていきたいと思います。また僕たちが生活の一部のような感じに戻ってもらえるように僕らも頑張ります。ファンの方たちも今のこの状況を頑張って乗り越えていきましょう。

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