グレッグ・ポポビッチ

「60%、70%の状態の彼にかかわるつもりはない」

今夏開催される東京オリンピックに出場するアメリカ代表には、4大会連続金メダル獲得という使命がある。そのためにも、ヘッドコーチのグレッグ・ポポビッチは、可能な限り最強の『ドリームチーム』を結成して日本にやって来る。

先日発表されたアメリカ代表の最終候補44名の内、オリンピック出場を果たせるか注目されているのは、アキレス腱断裂からの復帰を目指すネッツのケビン・デュラントだ。デュラントのビジネスパートナーは「その可能性はある」とコメントしたが、NBAチームの看板選手を預かる立場のポポビッチからすれば、簡単に結論は出せない。

3月6日に敵地で行われたネッツ戦前、デュラントのオリンピック出場の可能性について聞かれたポポビッチは、言葉を選びながら、次のように返答した。

「私が思うに、ケビンにはワークアウトができる状態、5対5の練習が可能な状態になってもらいたい。それも、彼だけではなく、球団も納得した上でだ。オリンピックだからといって60%、70%の状態の彼、ようやくコンディションを上げられる状態の彼にかかわるつもりはない。オリンピックは非常に大事な大会で、とても大きなもの。ただ、彼にはネッツでのキャリアがある。もし今年の夏までにプレーできる状態にならないのなら、私は彼にチームでのキャリアを優先してもらいたい」

厳しい発言に聞こえなくもないが、代表ヘッドコーチとして金メダル獲得を義務付けられているポポビッチは、勝てるチームを編成しなければならない。万全ではない状態の選手に限られたロスターの枠を与えるわけにはいかないのだ。

それに、ケガをした箇所を考えれば、プレー強度の高いコンペティションであるオリンピック出場はリスクが伴う。デュラントのキャリアを第一に考えるポポビッチは、決して復帰を急がせたりはしない。

デュラントがチームUSAの一員に加われるかどうかは、このまま順調に回復し、夏までにポポビッチを納得させられるだけのコンディションに仕上げられるかどうかにかかっている。