本来のプレーができればレイカーズに死角なし?
レイカーズはディオン・ウェイターズと契約を結んだ。
2012年のドラフト全体4位指名でキャバリアーズに加入したウェイターズは、キャリア4年目と5年目を過ごしたサンダーでシックスマンとして大成する。ケビン・デュラントとラッセル・ウェストブルックのダブルエースを擁するチームで彼が攻撃にアクセントを加えることで、サンダーは西カンファレンスにおいてウォリアーズをも脅かす存在となっていた。
しかし、2016年にヒートに移籍すると、そのパフォーマンスは不安定なものに。もともとケガの多い選手だったが、それよりもコート外での素行の悪さが取り沙汰されるようになった。
ヒート4年目の今シーズン開幕を迎えるにあたり、首脳陣はオフのコンディション管理をウェイターズに厳命。足首のケガが癒えた彼に、ベストコンディションでキャンプ開始の日を迎えるように求めた。ウェイターズが復活できると信じたからこそ期待をかけたのだが、彼はそれに応えられない。これを機に、チームは彼抜きで戦う構想を進めた。
そこからは転落の一途。開幕前にSNSで処遇への不満をぶちまけ、11月には遠征中の機内で大麻成分入りのガムを食べて意識を失い、メディカルスタッフの治療を受けた。この成分はNBAが摂取を禁じているもの。さらに12月には「チームの規則を遵守せず、反抗的な態度を取り続けた」という理由で3度目の出場停止処分。ここからは、好調なチームのリズムを乱す厄介者と見なされ、1月に3試合に出場しただけでグリズリーズにトレードされて契約解除となった。
ここまでの経緯を見ると、西カンファレンスの首位を快走するレイカーズにとって『厄介者』の獲得はリスクでしかないように思える。ただ、レイカーズが必要としているのは、チームが好調だからこそ優勝へ向けたラストピース。平凡な能力しか持たない優等生ではなく、脛に傷を持っていても才能のある選手だ。
レイカーズにとっての課題はセカンドユニット。特にレブロン・ジェームズがベンチに下がっている間、チームを引っ張る役割を果たせる選手がいないこと。その点でラジョン・ロンドは期待に応えられていない。ロンドは技巧的なパスでアシストを量産する選手で、その点では約20分の出場で5.0アシストと結果を残しているのだが、自らの得点は7.3と少なく、チームオフェンスそのものを機能させているとは言えない。
レイカーズがウェイターズに求めるのは、まさにロンドに足りない部分。自ら仕掛けて得点を奪うとともに、オフェンスのテンポを上げてチームを動かすプレーだ。今シーズンの出場はわずか3試合だが、プレータイムが短く試合勘もない中で平均9.3得点を奪うウェイターズのアグレッシブなプレーがレイカーズの目に留まった。
『clutchpoints』によれば、レイカーズはウェイターズと面談を行い、そこで真摯に反省して再起のチャンスを求めていることを確認した上で契約を決めたという。危険な賭けではあるが、レイカーズが求めているのは『そこそこ良い成績』ではなくNBA優勝なのだから、リスク承知で挑戦せざるを得ない。そういう意味では、ドワイト・ハワードで同じような賭けに勝っていることが、首脳陣の決断を後押ししたのかもしれない。
ウェイターズにとっても、まだ28歳ではあるがラストチャンスとも呼ぶべき状況。どのような働きをするのか注目だ。
No. 18 is in the building ?@dionwaiters3 | #LakeShow pic.twitter.com/34LUSCXhGz
— Los Angeles Lakers (@Lakers) March 7, 2020