ケビン・デュラント

ワールドカップのリベンジを期すチームUSAに朗報

昨年のNBAファイナル第5戦で右足のアキレス腱を断裂する重傷を負ったケビン・デュラントは、ウォリアーズからネッツに移籍して迎えた2019-20シーズンを全休し、完全復活を目指してリハビリを続けている。

それだけに先月発表された、東京オリンピックに向けたアメリカ代表の最終候補44名にデュラントの名前があったのは意外だった。ただ、これはデュラント自身の意思によるもの。デュラントのビジネスパートナー、リッチ・クレイマンはオリンピック出場について「可能性がある話」と『Washington Post』に語った。

「彼自身が、最終候補に入ることを了承した。出場するかどうかの決断を下す前にある基準に到達する必要があり、彼にとって今の最優先事項はそれなんだ」

ネッツと4年1億6400万ドル(約176億円)で契約し、まだ1試合にも出場していない選手が、選手生命を脅かす重傷からの復帰の舞台にオリンピックを選ぶのはリスクが伴う。だが、デュラントは根っからのバスケットボール選手、彼は、ただただコートに出て、高いレベルでプレーすることを望んでいる。

グレッグ・ポポビッチが率いるチームUSAは、昨年のワールドカップの二の舞を踏むわけにはいかない。だからこそ、『ドリームチーム』と呼べるほどの選手が最終候補に名を連ねた。最終メンバーにデュラントが含まれたとしても、プレータイムは調節が利く上に、周りは超が付くワールドクラスの選手ばかりで、故障明けの彼が過度の負担を背負うこともなさそうだ。優秀なメディカルチームもいて、コンディション管理も問題ない。そしてアメリカ代表にとっても、過去2大会で金メダル獲得に貢献しているデュラントの経験は頼りになる。

夏の間にリハビリとトレーニングを続けて、2020-21シーズンに向けたトレーニングキャンプに参加する道もあるが、個人練習中に足の状態が悪化してしまう可能性もゼロではない。ならばオリンピックで復帰し、世界の強豪と対戦することで実戦の感覚を取り戻す方が、スムーズに来シーズンを迎えられるのではないだろうか。

それでもデュラントの中で、ここまで回復しなければ代表には参加しない、という基準は決めてあるのだろう。それがクレイマンの言う『ある基準』だと思われる。

まずはデュラントがその基準をクリアすることを願いたいし、その上でどんな決断を下すのかを待ちたい。