ラッセル・ウェストブルック

トリプル・ダブルは減るも「チームの勝利のために」

ラッセル・ウェストブルックは今シーズンからロケッツに加入したが、シーズン序盤は思うような活躍ができなかった。ジェームズ・ハーデンがメインの選択肢となるオフェンスの中で自分の役割を見いだせなかったのが原因で、自身の代名詞であるトリプル・ダブルの達成頻度も落ちていた。

何より影響を受けたのがシュート成功率だ。自分のタイミングでボールを受けるシチュエーションが減ったことでフィールドゴール成功率は40%に届かず、3ポイントシュート成功率も20%と低迷していた。

そのウェストブルックがこの1カ月で復活を遂げた。2月は1試合平均33.4得点、7.3リバウンド、6.0アシストをマークし、チームも7勝1敗と波に乗った。

一番の違いは3ポイントシュートを打たなくなったことだ。それまで成功率20%だったにもかかわらず1試合平均5本あった3ポイントシュート試投数は、最近の15試合では1.7本へと急減。その代わり、ペイント内でのシュート数が平均8.9本から13.1本へと増加し、成功率も大きく向上した。

ロケッツは2月のトレードデッドラインに大型センターのクリント・カペラを放出してスモールボール戦術を徹底する大胆な策に出た。ビッグマンが不在となったことでウェストブルックがアタックできるゴール下のスペースが増え、結果的にペイント内でのシュート数が増加したのだ。

このプレースタイル変更についてウェストブルックは「ラインナップに変更があったので、コンスタントに効果的なプレーをするためにはどうするか、チームの勝利のために何ができるかを考えている。毎試合その課題に取り組んでいる」とコメントした。

アタックからのパスではなくフィニッシュまで持ち込むプレーが主体となったためにアシストが減り、2月はトリプル・ダブルを一度も記録しなかった。それでもラスの言う「チームの勝利のために何ができるかを考えている」という言葉は現実のものとなっている。

ウェストブルックの最近の活躍についてハーデンは、「ロケッツに来て初めてのシーズンだから慣れるまで時間がかかるのは当然だけど、ようやくその時が来たようだ」と話す。ヘッドコーチのマイク・ダントーニも「あえて言う必要もないけど、彼は元MVPプレーヤーだ。それに相応しい活躍をしてくれている」とウェストブルックを称えた。

ハーデンとウェストブルックの得点力は相手チームにとって相当な驚異となる。西カンファレンスではロサンゼルスの2チームがカンファレンスファイナルに進むのではないかと予想されているが、ロケッツの最近の勢いが続けば2強に割って入ることも不可能ではない。