トレイ・ヤング

「人を馬鹿にしたようなプレーは好きじゃない」

2月29日にステイトファーム・アリーナで行われたトレイルブレイザーズvsホークスの試合は、トレイ・ヤングが25得点15アシストでチームを引っ張り、ホークスが129-117で勝利を収めた。

試合後、ヤングに声をかけたのはブレイザーズの大ベテラン、トレバー・アリーザだった。2年目にしてオールスターゲームのスターターにまでなった若手を呼び寄せたアリーザは、笑顔を交えて耳元で何かを伝えた。さぞかし激励の言葉をかけているのかと思いきや、NBA選手としての『礼儀作法』について諭していたことが、試合後に分かった。

事の発端は、第3クォーターにヤングが仕掛けたプレーだった。同クォーターの残り5分35秒、ヤングはボールをアリーザの股の間を通して突破しようと試みたが、このプレーに苛立ったアリーザがショルダータックル。ヤングはバランスを崩し、審判はアリーザにフレイグラントファウル1をコールした。この直後、2人は両チームの選手に分けられ、小競り合いには発展しなかった。

試合後、ヤングに何と声をかけたのか聞かれたアリーザは「彼には『二度とあんな真似はするな。少なくとも俺にはな』と伝えたよ」と答えた。「自分はオールディフェンシブチームなどにも選出されたことはない。彼はオールスター選手でクリエイティブなプレーができるだろうけど、人を馬鹿にしたようなプレーは好きじゃない」

ヤングは、これまでにも同様のプレーを他チームとの対戦で決めている。だがアリーザは、先輩への敬意を欠くようなプレーを許さなかった。

「今までも股の間を通されたことなんてない。クロスオーバーで抜かれたり、頭上越しにダンクを決められたことはあるけど、これらはバスケットボールのプレーだ。今日のアレは、ルール違反ではないのだろうけれど……」と口ごもったアリーザを「ヤングはトレバーを辱めようとしたのさ」と、アシスタントコーチのジャンネロ・パーゴがアシストした。

アリーザは、ヤングに対して腹を立てていないと主張した上で、「バスケットボール選手として、誇りを持ってプレーしている選手としては、彼の行動は理解しているつもりだし、大した話ではない。ただ、やってはいけないこともあるというだけのこと」

チームメートのCJ・マッカラムは、ヤングのプレーに理解を示したが、アリーザの気持ちも分かると、試合後に擁護した。

「自分は股抜きに異論はない。コート上で勝つためにできることだったら、何だってやるからね。ただ、対応を誤ってしまうこともあるし、特にどの選手と対峙するかにもよる。もし今が80年代だったら、ヤングは殴られていたかもね。トレバーはこのリーグで16年もやっている選手。僕たちとは異なる時代を知っているし、今日のようなプレーをしない選手なんだから」