大河正明

事態が長引けば「財政的基盤の弱いクラブは資金繰りがもたない」

Bリーグは新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、2月28日から3月11日までのリーグ戦の開催延期を決めた。今日午後に行われた臨時実行委員会で決断されたものだが、会見を行った大河正明チェアマンは「苦しい選択でした」と語る。

選択肢としては、感染防止の手を打ちながらリーグを続けること、無観客試合、延期、そして全面的中止だった。その中から「なんとかチケット収入、スポンサー収入も予定していたものを確保しながらクラブを存続させ、延期になった分も試合をやっていこうという気持ち」とB1の4節(各チーム6試合)、B2では3節(同5試合)の延期を決めた。

もともとB1では4月18日、19日の週末がレギュラーシーズンの最終節。そこから優勝を決めるチャンピオンシップ進出8チームは、2つの週末を使って最大3試合のクォーターファイナル、セミファイナルを戦い、5月9日に一発勝負のファイナルを横浜アリーナで行い、優勝チームを決めるはずだった。

B1では水曜開催の試合は別の水曜日に振り替え、2度の週末分はチャンピオンシップのクォーターファイナル、セミファイナルを予定していたところを使う見込み。だが、そうなるとチャンピオンシップの規模を縮小せざるを得ない。ファイナルはあくまで5月9日。これはリーグにとって最も大きなゲームで動かしづらく、今年は東京オリンピックも控えているため後ろにずらすのは難しい。

チャンピオンシップについては横浜アリーナでの一発勝負でのトーナメント、あるいは進出チームを4に減らして対応するなど、ここからも厳しい選択を迫られることになる。大河チェアマンも「勝率1位2位でファイナルをやるのが一番極端な例。クォーターファイナル、セミファイナルを1試合だけで決めてしまう選択もある。これから検討していく」と語る。

しかし、大河チェアマンの最大の心配事は「これが2週間で済まないとなると、状況はまたかなり変わる」ということだ。

試合が開催できなければクラブのチケット収入は絶たれ、スポンサー収入も一部は失うことになる。競技面よりも経営面で大きなダメージを各クラブが負うことになる。そうでなくともBリーグには経営基盤が安定せずにライセンス取得に四苦八苦するクラブは存在する。ギリギリ収支が成り立っているクラブも、ここで何試合分もの収入を失えば厳しい状況に追いやられる。

「延期しても試合が行われれば、大打撃ということはない。しかし再開できない可能性もゼロではない。仮に5月の頭まで試合ができないとなると、最大60億円ほどのダメージになる。そうなった時に、親会社が見ているクラブであったり、ある程度は財務的基盤のしっかりしているクラブはいいとして、そうじゃないクラブは資金繰りがもたないんじゃないか。それをどうもつようにしていくかは、最悪のシナリオを考えた時のBリーグのミッションになります」

苦渋の決断ではあれ、シーズン終盤の戦いを楽しみにしていたファンに向けて大河チェアマンはこう語った。

「楽しみにしていらっしゃる方が多くいる中でこの決断をしなきゃならなかった。我々が悪いわけではありませんが、楽しみを奪ったことをお詫びしたい。再開したあかつきには、今まで以上に素晴らしい試合をお見せして、皆さんに感動や勇気を与えられるBリーグでありたいと思います」

各チームとも、延期となる試合の代替開催日およびチケットの取り扱いについては調整中、3月1週を目途に発表するとアナウンスしている。

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