文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

30-7のロケットスタートから終始圧倒

横浜ビー・コルセアーズvs琉球ゴールデンキングスの一戦。リーグNo.1の守備力と連動したチームオフェンスが光り、第1クォーターで20点強のリードを奪った琉球がアウェーで大勝を収めた。

琉球はボールマンへの高いプレッシャーとディナイディフェンスによって、横浜のオフェンスをシャットアウト。苦し紛れのパスをスティールし、ショットクロックわずかなところでタフショットを打たせるなど、横浜はデザインされたオフェンスを遂行できない。

ディフェンスからリズムをつかんだ琉球はオフェンスでも完成度の高さを見せる。抜群のタイミングと角度のスクリーンでズレを作り、イージーシュートを沈めていく。また第1クォーターで7選手が得点を記録したように、球離れも良くボールと人が連動したオフェンスを展開した。岸本隆一と古川孝敏がそれぞれ2本の3ポイントシュートを沈めた琉球が、30-7と大量リードを奪った。

ともにオン・ザ・コート「2」の第2クォーター、ディフェンスの強度に慣れてきた横浜はハシーム・サビート・マンカの高さを生かし反撃を開始。シンプルな1対1ではなく動きの中からノーマークを作りだし、制空権を握った。田渡凌とのアリウープやゴール下での得点を重ね、サビートは10得点を挙げる。

それでも古川のキャッチ&シュート、岸本の2本の3ポイントシュートなどが要所で決まり、琉球は主導権を渡さない。そして、須田侑太郎がブザービーターとなる3ポイントシュートを沈め、このクォーターも20-17と上回った。

後半に入っても堅守が崩れない琉球はエンドラインからのスローインやリスタートのスローイン時に、強烈なプレッシャーをかけてターンオーバーを何度も誘発。横浜はサビートのブロックショットでなんとかゴールを死守するも、ブロックショットの多さはそれだけリングへのアタックを許していることの表れでもあり、ズレを作られ常にオフェンス有利な状況となって失点がかさんでいった。

攻守ともに終始圧倒した琉球は第3クォーター終了時点で34点差をつけ、試合の趨勢を決めた。すべてのクォーターを上回った琉球が最終スコア90-52で快勝した。

佐々コーチ「7点に抑えたのが今日の試合のすべて」

佐々宜央ヘッドコーチは30-7と大量リードを奪った第1クォーターのパフォーマンスを勝因に挙げた。「ディフェンスが激しく始められたというのがいいきっかけになって、7点に抑えたのが今日の試合のすべてだった」

またファウルアウトの渡辺竜之佑や4ファウルの二ノ宮康平を筆頭にガード陣のファウルがかさんだが、「相手ポイントガードに高いプレッシャーで当たっていて激しくやれていること」とポジティブに捉え、むしろプラン通りだったと説明した。

それでも佐々コーチは慢心せず、課題を見つけ出す。「3ポイントが入らなくなった時に2ポイントでどうやって点を取っていくかという考え方もしなければいけない。良くて40%、悪い時だと20%まで落ちてしまう。ウチはローポストで単純な1対1をする選手がいないので、どうやって2点を取っていくかが課題ですね。そこがずっと50%を超えていくようだと盤石になっていく」

田渡「試合中にアイディアが浮かんでこなかった」

一方、完敗を喫した古田悟ヘッドコーチは「1クォーターから相手のプレッシャーディフェンスに対して、ウチは向かっていくことができませんでした」とやはり序盤の展開を悔いた。

故障者が続出する苦しいチーム事情の中、打開策を模索しているが結果には結びつかなかった。「オフェンスの部分も含めて新しいシステムをトムコーチにも手伝ってもらいながらやっているが、まだ機能してない」

田渡凌は「ディナイされた時に僕が割っていこうとしても、僕がシュートを打てない距離でヘルプがきた」とポイントガードとしてゲームをコントロールできず自分を責めた。また「試合中にアイデアが浮かんでこなかった」という言葉が琉球のディフェンス力の高さを示していた。

古田コーチは「たくさんのお客さんの前で情けない試合というのは不甲斐ない思い」と終始伏し目がちで自分を責めた。この日は3857人という大勢のブースターが集まった。失ったファンの信頼は、この後に行われる第2戦で取り戻すしかない。