田渡凌

強豪のSR渋谷に互角で渡り合った週末

横浜ビー・コルセアーズは先週末のサンロッカーズ渋谷との対戦を1勝1敗で終えた。戦績だけを見れば、リーグ17位の横浜が5位のSR渋谷から1勝を挙げただけでも金星と言える。

それでも、田渡凌はディフェンスに注力しているチーム状況を鑑み、勝てた喜びよりも失点が多かったことにフォーカスしている。

「渋谷は平均得点が高いチーム。ディフェンスを頑張ろうと今やっているんですけど、抑えられなかったです。2日連続で90点取られて、それは自分たちのやりたいバスケじゃないし、ウチは毎回100点取れるチームでもないので。ディフェンスで失点を抑えないとこういうチームには勝てない」

初戦はオフェンスが爆発し、今シーズン初の100点超えとなる101-90でSR渋谷を退けた。それでもオフェンスに関しては「特別な作戦はなかった」と話した。結果的に90失点となったが、「ディフェンスにフォーカスしていることがオフェンスに生きているとも言える」と、やはり横浜の生命線はディフェンスにあるのだ。

また、SR渋谷との前回の対戦では2試合とも20点差以上離される大敗だったことも考えれば、それだけチームが成長したともとれる。「前回は2試合とも試合にならない時間帯で終わっていたので。それに比べたら1勝1敗ですし、長所を生かせば戦える自信にも繋がったとみんなで話した」と、田渡は言う。

田渡凌

「貢献できていない自分が情けなかった」

また今節は田渡にとってスランプを払拭する機会ともなった。「ここ1カ月ほど調子が良くなくて、自分の中で見失っていた部分はありました」と話す田渡は、第1戦で今年に入って初めて2桁得点を記録し勝利の立役者となると、第2戦でも積極的なリングへのアタックでSR渋谷のゾーンを攻略した。

「辛かったというよりは情けなかったです」と、田渡はスランプの時期を振り返った。「練習は怠らずにやっていましたが、抜け出せる光がなかなか見えてこなかったです。チームは今上がってきているのに、貢献できていない自分が情けなかったです」

田渡は毎日日記を書いているという。そして、その日記を読み返すことがスランプを脱する手助けになった。「ノートを見返しました。『初心に帰る』ってよく言いますけど、それに尽きるなって思いました。自分の良さはアタックすることで、忘れかけていたものを思い出せました。失った自信はコートで取り戻すしかないので、これからを見てほしいです」

サンロッカーズ渋谷

「今は毎回チャンスがある」

横浜は現在10勝29敗で中地区5位。リーグ全体で見てもワースト2位と苦しい戦いを強いられている。それでも、今シーズンの中地区は川崎ブレイブサンダースが『1強』状態となっており、2位のシーホース三河とのゲーム差は7.5ゲーム差と、今後の戦績によってはチャンピオンシップ進出も不可能ではない。

横浜は過去3シーズン連続で残留プレーオフを戦ってきた。「正直、去年は勝つチャンスが少なかったと思う」と、田渡は本心を明かした。それでも、上向きつつあるチーム状況に手応えを得ている

「自分たちの調子次第で勝てる試合が多く、今は毎回チャンスがあると思っていますし、僕らのケミストリーが向上したら全部勝てないこともないと思います」

今後は同地区との対戦が多くなり、直接対決に勝利すれば一気にゲーム差を縮めることができる。田渡は逆転でのチャンピオンシップ出場を本気で狙っている。

「他地区との4試合を除いたら、あとはすべて同地区との試合なので、残りの18試合が大事です。それだけチャンスがあると思っていますし、全部勝つつもりでやるだけです」

ヘッドコーチ交代を機に目に見えてチームが上向いている横浜。チャンピオンシップ進出を現実のモノにするには、スランプを脱した田渡がさらに『覚醒』するしかない。