タロン・ルー「彼は今、個人的な問題と向き合っている」
デリック・ローズの身辺が、再び慌ただしくなり始めた。
左足首の捻挫により直近7試合を欠場中のローズだが、『ESPN』によれば、2011-12シーズンからケガとの戦いが続いていることに、精神的に疲弊してしまっているという。足首の捻挫であれば大事には至らないはずだが、気持ちがついてこなければ、コート上でのパフォーマンスにも支障が出る。
ヘッドコーチのタロン・ルーは、ローズの復帰時期を決めず、「彼は今、個人的な問題と向き合っている。我々としては、近日中の復帰を願っている」とコメント。報じられた内容を認めたわけではないが、ローズが捻挫以外の『何か』を抱えていることをほのめかした。
昨シーズンはニックスで再起を図ったものの、チームは思うように機能せず、カーメロ・アンソニーと前球団社長フィル・ジャクソンとの確執が報じられるばかりで、ローズはバスケットボールに集中できなかった。
そしてフリーエージェントになった今オフ、ローズはベテラン最低保証額の210万ドル(約2億3000万円)という条件を受け入れ、キャブズで優勝を目指すことを誓った。今シーズンは7試合に出場し、平均14.3得点、2.6リバウンド、フィールドゴール成功率47%という成績を残しているのだが、またしてもケガでチームを離れることになった。
これで精神的に落ち込んでしまったとしても不思議ではない。2011年にNBA史上最年少でシーズンMVPを受賞し、リーグの顔になれると言われた選手がたどってきたこの6年間の苦しみ、痛み、孤独を本当の意味で理解できるのは本人だけだ。
モチベーションを取り戻して復帰しても、間もなく復帰すると言われているアイザイア・トーマスが戻れば、ローズは控えポイントガードとなることが濃厚だ。故障歴を考えれば、ローズはベンチからの得点源として活躍する方が適任だろう。ただ、キャリア9年で先発を外れたのがわずか1試合のローズが、すんなりロールプレーヤーへの転向を受け入れられるだろうか。今シーズン開幕前にキャブズに移籍したドウェイン・ウェイドは、開幕後に自らの意思でシックスマン転向を受け入れたが、これと同じことができる選手は多くはないはずだ。
ローズは、今夏プロモーションツアーで中国を訪問した際、現地のファンが製作した激励メッセージビデオを見て、大粒の涙を流して感謝の気持ちを伝えた。家族、チームメート、ファンに支えられてここまでキャリアを続けてきたローズが、こういう形でコートを去るのは忍びない。今のローズを何よりも癒してくれるのは、バスケットボールで競い合うことではないだろうか。
時間をかけて気持ちを作り直し、再びコートに戻ってきてもらいたい。