文=泉誠一 写真=野口岳彦

今週末11月25日、26日に迫った天皇杯3次ラウンドはいよいよB1勢が登場する。ワールドカップ予選が開幕したことでリーグ戦は中断となり、各クラブにとっては日本代表に選出された主力を欠く中でのカップ戦となる。そのため、これまでの戦績を覆すアップセット(番狂わせ)が起こる可能性もある。しかし、エースが留守だからこそ、チャンスが巡ってくる控え選手たちの奮起にも期待したい。

自分たちのバスケを貫くか、チーム内競争を煽るか

各クラブともレギュラーシーズンも3分の1まで差し掛かろうという現時点になると、開幕当初は定まっていなかった先発メンバーも固まりつつある。直近11試合を対象に、ケガやユニフォーム忘れなどを考慮した上で4人以上の先発メンバーを変えずに起用する試合が8試合以上あったクラブを数えてみると14にのぼる。大多数のクラブで先発メンバーは固定されているのだ。

逆に、チーム状況や対戦相手に合わせて変動していたのは新潟アルビレックスBB、富山グラウジーズ、横浜ビー・コルセアーズと、いずれも中地区の3クラブであった。横浜は開幕から不運にもケガ人が相次ぎ、固定したくてもできない台所事情もある。

固定派の意見として、「自分たちのバスケットを貫きたい思いが強い」と言うのは川崎ブレイブサンダースの北卓也ヘッドコーチだ。B2ではあるが、変動派の代表として挙げられるのは秋田ノーザンハピネッツである。これまでの17試合で一度も同じ組合せのスタメンを起用していないほどの徹底ぷりだ。ジョゼップ・クラロス・カナルスヘッドコーチは「チーム内の競争率を上げていきたい」と常に緊張感を持たせるとともに、「誰もが先発になれることで、チームとして戦っていることを意識させたい」という考えがある。

どちらのタイプも間違いではない。勝って証明するためにも、ヘッドコーチ自身の確固たる信念が求められる。偶然にもその2クラブが天皇杯3次ラウンドで1つ勝てば、神奈川会場(トッケイセキュリティ平塚総合体育館)で相まみえることになる。川崎は代表選手が不在となるため、いつものスタメンを組むことができない。それが今回の天皇杯の大きなキーポイントでもある。

代表選手がいない中で勝たねばならない『正念場』

最も多い3人が選出されているアルバルク東京にとっては、大きな試練が待っている。タレント軍団であることに変わりはないが、元々ロスターが11人しかおらず、8人での戦いを強いられる。ファウルトラブルが命取りになる恐れだって十分考えられる。

初戦は、B2中地区首位のファイティングイーグル名古屋。相手にとってはアップセットのチャンス到来と鼻息荒く挑んでくるだけあり、厳しい戦いは避けられない。さらにA東京が勝っても、島根スサノオマジックvs京都ハンナリーズの勝者は先に試合を終えており、少ないロスターゆえにリカバリーも勝負の行方を占うことになる。B1東地区で首位に立つA東京にとっては、日本一に向けて大きな正念場を迎える。

日本代表はワールドカップへの出場権を懸け、残された各クラブは天皇杯の優勝賞金2000万円を目指し、さらには大学日本一を争うインカレもクライマックスを迎え、全国各地で負けられない熱い週末がやって来る。

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