「こういう勝ち方がブレックスだと思う」
宇都宮ブレックスは先週末に行われた川崎ブレイブサンダースとの2連戦を1勝1敗で終えた。
初戦を落として迎えた第2戦、前半で10点のビハインドを背負ったが、ディフェンスのギアを一段階上げ、後半を42-23と圧倒して逆転勝利を飾った。
遠藤祐亮はボールマンに激しいプレッシャーをかけ続け、背中でディフェンスマインドを注入した。「自分が先頭を切ってプレッシャーをかければ、周りの選手もついてきてくれる。今まで何回もやってきましたし、それをやるのはブレックスでは自分かなと思います」
チームメートも遠藤の無言のメッセージに応えた。その結果、川崎を今シーズン2番目に少ない67点に抑えこんだ。
宇都宮はどんな状況に陥ってもあきらめず、終盤に試合をひっくり返す底力があった。選手も「ディフェンスで我慢すれば必ず逆転できる」と、昨シーズンに話していた。だが、今シーズンに喫した9敗のうち7試合が4点差以内での敗戦と、接戦を落とすことが多く見られ、好成績を収めてはいるとはいえ本来の強さは影を潜めていた。
初戦を72-74で落とし、今シーズンの川崎との対戦では天皇杯も含めて0勝4敗。この先のチャンピオンシップを見据えれば、苦手意識を払拭する必要があった。その中で迎えた第2戦、ニック・ファジーカスを止められず最終クォーターに逆転される場面もあったが、そこで崩れることなく競り勝った。
安齋竜三ヘッドコーチも「チーム一丸で戦った感覚がある。『これがウチのチームだな』っていう試合ができた」と語り、遠藤も「こういう勝ち方がブレックスだと思うし、自分たちには大きな1勝だった」と、自信を取り戻す価値ある勝利だったと口を揃えた。
「こういう勝ち方がブレックスだと思う」
高確率の3ポイントシュートを浴びて前半で10点のビハインドを背負った宇都宮だったが、比江島慎の連続スティールなど、序盤からディフェンスの激しさには目を見張るものがあった。
遠藤もフィフティーフィフティーのボールにダイブし、チームメートも観客もその姿に大いに盛り上がった。特にプレータイムの長い主力選手であれば、スタミナの消耗を抑えることも鑑み、コートへのダイブは躊躇してもおかしくはない。また、結果的に相手にボールが渡ってアウトナンバーとなるリスクもある。それでも、遠藤は飛び込むことが必要と説いた。
「体力が削れたら代わればいいです。相手にイージーシュートを打たれてしまったら間違った選択かもしれないですけど、取れる取れないにかかわらずチームが盛り上がるというか、やらなきゃいけない感じはあります」
そして、ダイブすることによって一体感や連帯感がチームに生まれ、その後のパフォーマンスに繋がると遠藤は言う。「ダイブした後にみんなが助けてくれるとか、『ナイスディフェンス』ってベンチが立ち上がったり、そういう雰囲気はやるとやらないのじゃ違います。そういうのがあるから次ももう一回止めようとか、強い気持ちに繋がると自分は思っています」
ルーズボール争いやボールへの執着心。こうした部分がかつての強い宇都宮の根幹を支えていた。『らしさ』を取り戻し、対川崎の連敗を止めたことで、今後の宇都宮はさらに手強いチームとなったはずだ。