岸本隆一、選手層が厚くなった琉球ゴールデンキングスでも変わらぬ存在感を放つ

2017/11/21
Bリーグ&国内
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文・写真=鈴木栄一

「隆一が悪い流れを切ってくれる、という使われ方」

11月19日、琉球ゴールデンキングスは本拠地で名古屋ダイヤモンドドルフィンズを迎え撃った試合に72-59で勝利。前日に続く連勝を、司令塔にしてキャプテンの岸本隆一はこう総括した。「波とかミスがまだありますが、チームとしてディフェンスがそこまで崩れなかった2日間。2連勝できて良かったです。いろいろとポイントがありましたが、3ポイントシュートで(ジェロウム)ティルマンと(クレイグ)ブラッキンズにそこまでやられず。リバウンドでアドバンテージが取れました」

今回の勝利で、琉球は連勝を今シーズン最多タイの5に伸ばした。この間の失点はすべて71以下と、厳しくプレスをかける堅守が勝利の原動力となっている。「シーズンが始まった時は成功体験がなかったので、ディフェンスを粘り強くやれば良い結果が得られるという感覚がなかったです。それが今は、言葉は悪いですが泥試合、オフェンスで盛り上がりの欠けるゲームでも、ディフェンスで頑張れば結果として勝てる感覚です。それが良いディフェンスにつながっています」

岸本自身に目を向けると、ガラリとメンバーが変わった琉球でその役割も違ったものとなっている。昨シーズンは30分以上の出場も珍しくなかったのが、ここまで30分以上の出場はオーバータイムとなった10月29日の千葉ジェッツ戦のみ。それでも試合の重要な局面で起用されていることに変わりはない。岸本自身も前向きにこう語る。「最近は、相手に流れが傾きかけている時に自分が出ることへのうれしさがあります。隆一が出れば悪い流れを切ってくれるという使われ方があるので、そこはやり甲斐を感じています」

勝負どころを任されるのは「プロ冥利に尽きる」

昨シーズンに比べ選手層が一気に厚くなったチームでも重要な局面を任される機会が多い岸本だが、18日の試合ではノーマークのレイアップシュートを外し、そこから相手に逆速攻を食らってしまうなどミスが目立ち、第4クォーターの勝負ところで司令塔の座を津山尚大に譲った。

それでも、翌日の第2戦ではアグレッシブな評価を取り戻している。「昨日はあまりボールを呼び込まずピック&ロールから自分で崩していく場面が少なかったので、今日は積極的に行こうと意識しました。そこでシュートが決まらなくてもオフェンスが良い流れとなるきっかけ作りにはなったかなと思うので、昨日と違った良い点でした。また、第2クォーターにリードを2桁とする3ポイントシュートを決めることができたのも自信になりました」

こ結果、第4クォーターでは約9分とほぼフル出場を果たし、勝利の瞬間をコート上で迎えた。試合後、前日の勝負ところをベンチで見守っていた点について聞くと、「ただ、チームがうまくプレーしてくれればいいなと思っていました」と振り返るが、ここ一番でコートに立つことへのこだわりは強い。「あの時間帯に出られていたのはうれしいというか、プロ冥利に尽きるという感覚です。あの瞬間のためにやっているようなものなので、もっと積極的にプレーできたらいいなと思います」

そして、司令塔としてはまた新たなプレースタイルも意識している。「みんなに満遍なくボールを触らせたい。ただ、そこに意識が行き過ぎると自分の積極性がなくなってしまいます。そのバランスを意識しながら、周りに気持ち良くプレーしてもらうことを目指しています」

「足元を見つめ直し練習からハードにやるだけ」

シーズンの約4分の1を終え、琉球は12勝5敗で西地区のトップ。最終的に勝率5割を切った昨シーズンと比較すれば上々のスタートであることは間違いないが、だからこそ緊張感を持って日々の練習に取り組むことが大切さだと岸本は強調する。

「こうすれば勝てるんだという経験を積みながら勝てていますが、まだまだ僕自身を含めミスが多い。もっと成長しなければいけないです。チームの雰囲気は良いですが、こういう時こそ落とし穴があるもの。うまくいかない時に、今までうまくいったのにという感覚でやってしまうとつまずきがちになるので、足元を見つめ直し練習からハードにやるだけです」

確かな手応えと危機感、この相反する2つの感触をともに感じながら、地元出身のキープレーヤーとして、岸本は琉球がさらなるステップアップを果たすために何が必要かを模索し続けている。