林咲希

4日で3試合の過密日程でも『走るバスケ』を貫く

オリンピック予選、最終戦となるカナダ戦。日本代表は本橋菜子、赤穂ひまわり、林咲希、渡嘉敷来夢、大﨑佑圭でスタートした。走って点を取り合う立ち上がりからフィジカルな守備へと攻防の形は変わりつつも差のつかない展開。第1クォーターの最後に吉田亜沙美の3ポイントシュート、ドライブからファウルを誘ってのフリースローで日本が先手を取った。

それでも高さとウイングスパンに加え、大学生プレーヤーを複数擁する若いカナダも、日本に負けないダイナミックなバスケットを展開。これに対して日本は前日ベルギー戦の最後に使った町田瑠唯と本橋を同時起用するスモールラインナップでスピードアップ。すぐに林の速攻が飛び出すも、カナダもすぐにアジャストして良いプレーを続けさせてもらえない。一方で日本も守備を修正し、ゴール下に飛び込む選手をフリーにせず、小さい町田が高さのミスマッチを突かれても食らい付き、シュートミスを誘う好ディフェンスもあった。

日本はカナダのエース、キア・ナースをフィールドゴール9本中2本成功の5得点と抑え込むが、日本も渡嘉敷のインサイド、林の3ポイントシュートが抑えられて波に乗れない。こうして両者一歩も引かないまま、30-31と日本が1点のビハインドで前半を終えた。

カナダの外が決まり始めて9点差まで開くも、ここから大﨑がコーナースリーのチャンスを沈め、吉田がドライブレイアップを決めて盛り返す。林がスティールからのワンマン速攻、さらには町田のキックアウトから3ポイントシュートを決め、今度は林のドライブから外に展開して町田の3ポイントシュートが決まる。

しかし、日本に本来の勢いは出てこなかった。3試合通して出ずっぱりの渡嘉敷は第3クォーター中盤ですでに肩で息をする状態。またセカンドユニットの選手たちも存在感を示すことができず、勢いが持続しない。第4クォーターに入って3ポイントシュートを徹底的にケアされている林ではなく、赤穂が2本、本橋も1本と3ポイントシュートを立て続けに決めて1ポゼッション差まで迫るも、ここから連続ターンオーバーと自分たちのミスで勝機を逸してしまう。

女子日本代表

猛烈な追い上げを見せるも、あと一歩届かず惜敗

残り4分、7点差の状況で再びスモールラインナップで勝負に出る。しかしカナダも連戦で相当に疲れが溜まっている状況で、3ポイントシュートを簡単には打たせないディフェンスを徹底。本橋の速攻が飛び出すも、吉田と渡嘉敷のホットラインのパスを読まれ、町田のパスがカットされて速攻へと持ち込まれ、なかなか点差が詰まらない。

残り12秒でファウルゲームに。残り0.3秒から林が決まれば逆転のシュートを放つも、これがリングに嫌われて万事休す。日本は68-70で敗れ、1勝2敗で大会を終えた。

カナダはエースのキア・ナースが、前半は抑えられるも後半にアウトサイドシュートでの得点をきっかけに調子を上げ19得点。ナース以外はローテーションを徹底し、出場した10選手が全員得点を挙げるバランスの良さが目立った。このオステンドの大会からは、開催国の日本に続き、カナダとベルギーがオリンピック出場を決めている。

日本は林咲希がゲームハイの21得点を記録。ベルギー戦では3ポイントシュートだけで24得点を奪ったが、この日は徹底的に警戒されて3ポイントシュートは15本打って成功は3本のみ。それでもゴール下に飛び込んでパスを呼び込み、速攻で走ってとアグレッシブなプレーを貫いた。「シュートが入っても入らなくても自分のやることに気を抜かず、シュートだけじゃなく走ることも、日本らしいバスケができるよう自分で変えていこうと考えました」と林は言う。

「日本は走るチームで、何が何でも一番に走ろうと思っていました。シュートが入らなくてもやることはたくさんあります。シュートが入らなくて走らなかったらこういう点数にはならなかったし、今までだったら落ち込んだかもしれませんが、このレベルになるとこんなんで落ち込んではいられません」

アジアでは勝ち続けてきた日本だが、この大会は連敗で終えることになった。それでも宮澤夕貴が不在の状況で林が結果を出して自信を付けたことは大きな収穫と言える。