文・写真=鈴木栄一

猛追された終盤のディフェンスが効いて逃げ切りに成功

試合が動いたのは第2クォーターの立ち上がりだった。19-17からハッサン・マーティンの3連続シュート成功で琉球ゴールデンキングスが優位に立つと、さらにヒルトン・アームストロングの豪快なダンク、岸本隆一の3ポイントシュートでリードを広げていく。対する名古屋ダイヤモンドドルフィンズはこのクォーターで計13本のシュートを放つも成功したのはわずか3。43-27と琉球が16点をリードして前半を終える。

第3クォーターに入っても琉球のペースで試合は進み、残り約5分には岸本が再び3ポイントシュートを沈めてリードは23点に。このまま琉球の一方的な展開になるかと思われたが、名古屋Dもこの試合で15得点をマークした笹山貴哉のシュートなどで追い上げ、第4クォーターの残り約6分で10点差にまで猛追する。

しかし、琉球は直後に田代直希が3ポイントシュートを決めて2桁のリードをしっかりキープ。残り3分からは実に3つのオフェンスリバウンドとスティールで、得点こそ奪えなかったが1分半にかけて相手にシュートを打たせないなど、危なげない試合運びで逃げ切り勝利した。

「丁寧なんですけどちゃんとアグレッシブに」

試合後のインタビューでは佐々宜央ヘッドコーチが、いよいよ24日に始まるワールドカップ一次予選に向けた日本代表候補14名に選出されている古川、ブラウンについて言及。一緒に日本代表を応援しましょうと呼びかけると、古川孝敏、アイラ・ブラウンが大一番に向けての意気込みを語る『壮行会モード』となり、連勝となったこの週末を締めくくっている。

「昨日の試合におけるターンオーバーとオフェンスの反省をして、それを朝に練習して丁寧にやれていました。また、丁寧なんですけどちゃんとアグレッシブにやっていました。ただ、第3クォーターで20点以上の点差をつけながら、ああいう状況(途中10点差に詰められる)になってしまいました。あそこで30点に開くことができればチャンピオンになれる質のチームです。連勝できたのは良いことですが、課題はいっぱいあります」

このように琉球の佐々ヘッドコーチは試合を振り返る。そして「リバウンドの修正をして、今日そこが反応できたのが良かった。フリースローも久しぶりによく入りました」とコメント。合計で43-24、特にオフェンスリバウンドで15-3と大差をつけたリバウンドに加え、計17本中16本成功とほぼ完璧だったフリースローが勝因となった。

「代表を応援しているが、こちらもプライドを見せたい」

今回の2試合、琉球は故障から復帰した古川孝敏が連続で第4クォーター終盤にプレーと、順調にコンディションが上向きになっている様子。ただ指揮官は、実績十分の古川であっても特別扱いはしないと強調。「皆さんが古川に期待してくれるのはありがたいですが、田代もしっかりやってくれていますし、そんなに簡単にポジションを奪えるわけではないです」

ただ、同時に「僕にしたら使える選手が増えました。その日、集中してくれる選手がもっと増えてきてほしい。それが12名になった時は本当に強くなります」と選手層がより厚くなったは感じている。

これで琉球は、レバンガ北海道に26点差の大敗を喫した11月4日以降は負けなしの5連勝。これで今シーズン2度目の5連勝となったが、「僕たちは成長段階と常に思っているので、5連勝だからどうこうはないです」と指揮官は気にすることはない。そして、「オールジャパン3次ラウンドでは、アイラと古川がいないという言い訳を捨てようと言いました。代表をもちろん応援していますが、こちらもプライドを見せたい。次のリーグ戦となる(12月2日、3日の)横浜戦にいい形でつなげていきたいです」と早くも次の戦いを見据えている。