プレーオフを勝ち抜く資質を備えたチームに
昨シーズン限りでウォリアーズを離れたアンドレ・イグダーラは、今シーズンはグリズリーズに籍を置きながらチームには帯同せず、新天地が決まるのを待っていた。その彼を獲得したのはヒートだった。
今シーズンのヒートは若いチームの勢いがうまく噛み合い、ここまで34勝16敗と東カンファレンスの上位につけている。イグダーラは主にディフェンス面、それもクラッチタイムに勝敗を左右する大仕事ができるだけのバスケIQと勝負度胸を備えている。これは年齢を重ねても衰えるものではなく、ヒートに足りなかった要素だ。
また大ベテランのユドニス・ハズレムと並び、バム・アデバヨやタイラー・ヒーローといった若手へのメンターとしても存在感を発揮しそうだ。
もう一人のターゲットだったダニーロ・ガリナーリの獲得はならなかったが、それでも勢いのあるヒートに経験豊富なベテランが加わった。東カンファレンスはヤニス・アデトクンボを擁するバックスの1強状態。そのバックスの対抗馬、カンファレンス・ファイナルで挑戦するチームの最有力候補にヒートは浮上したと言える。
ヒートは東の4位だが、2位のラプターズはカワイ・レナードのように大舞台でクラッチプレーを任せられる選手がいない。3位のセルティックスもタレントは揃っているが、プレーオフで試合のペースがスローになった時のサイズ不足が気にかかる。シクサーズはチームが一枚岩になれておらず難しい状況にある。レギュラーシーズンとプレーオフは別物で、そこを勝ち上がる力を最も備えているのがヒートかもしれない。
イグダーラは今シーズンは試合に出ておらず、コンディションは良好だとしても試合勘を取り戻すのに少なからず苦労するかもしれない。それでも経験豊富な彼ならいずれリズムをつかむし、新しいチームにもフィットするだろう。果たしてイグダーラはヒートのラストピースだったのか、その答えが分かるのはもうしばらく先のことだ。