「ペイントにアタックすることを意識しました」
アルバルク東京は2月1日に行われた川崎ブレイブサンダースとの第2戦を72-68で競り勝ち連敗を2で止めた。この試合で田中大貴は10得点に加え、積極的なペイントへのアタックで川崎ディフェンスを切り崩して7アシストを記録。攻守に渡ってオールラウンダーの本領を発揮し勝利の原動力となった。
「ニック(ファジーカス)のところは昨日に引き続きやられましたけど、それでも自分たちのやるべきことはぶらさずに最後まで徹底できました。そして、リバウンドも身体を張って取れたことが勝因です」と、田中は語る。
また、76-86で敗れた第1戦と比べ、ゴール下へのドライブが増えたのは意識して仕掛けていった結果であると続けた。
「相手に守備でスイッチされた後、外だけでボールが動くようではいけない。自分と安藤(誓哉)にはスイッチされたあとのアタックを徹底してやりなさいとコーチから言われています。ただ、相手もこちらがゴール下に行きたいことは分かっています。ニックも一見、動けないように見えますが、間合いを取るのがうまく、嫌な感じでシュートを打たせてきます」
「昨日のオフェンスは単発だったので、もっとペイントにアタックすることを意識しました。それができれば何かいいことが起きる。例えば自分がゴール下でシュートを外してもビッグマンがリバウンドをとって決めてくれることもあります」
「ソリッドに守ることが40分間できずに我慢しきれていない」
ここまでいつものようにリーグ上位の成績を残しているA東京だが、田中は「正直、うまく行っている感じはあまりないです。水曜日の宇都宮ブレックス戦も昨日の試合も自分たちの堅実さ、ソリッドに守ることが40分間できずに我慢しきれていない」と、内容に手応えを得ていない。
だからこそ、まだシーズン中盤戦であるが、この勝利で連敗を止めたことは大きな意味を持っている。
「水曜日の宇都宮戦も昨日も相手は良いプレーをしていました。対して自分たちはふわっと試合に入り40分間を通してやるべきプレーを継続できない戦いが続いていました。今日も負けて3連敗となったら、このままズルズルといってしまう危険があると思っていたので、なんとか連敗をストップできたのは大きいです。このタフなスケジュールの最後を勝って、次また行くぞという雰囲気で終われたのは良かったです」
「今は力をつける良いチャンス」
現状、A東京の大きな課題と言えるのが、小島元基の負傷離脱、馬場雄大のアメリカ挑戦により、オフェンスの生命線であるピック&ロールからのペイントアタックをできているのが田中、安藤の2人のみと昨シーズンから半減していることだ。
「須田(侑太郎)、津山(尚大)も毎日ハードワークして良くなっていると思います。それに小酒部(泰暉)にも上がってきてほしいです」と田中は、新戦力の成長を評価している。ただ、チーム在籍歴の浅い彼らは、ビッグマンとの阿吽の呼吸から馬場、小島のようにスムーズな仕掛けをできていない。その結果、田中、安藤がより激しいマークを受けているのは紛れもない事実だ。
そこは田中も、「なかなかキツい部分はあります」と素直に語るが、同時に「自分たち2人がこのチームの核だと思うので、どれだけ苦しい状況になっても、やるべきことをやるだけです」と一歩も引く気はない。
そして、この苦境も更なる進化の機会ととらえるメンタルの強さがある。「ベンチメンバーの成長を期待するだけでなく、自分と安藤ももっと質を上げていく。プライドがあるので、どれだけ来られようとそれを打ち破るだけです。今は、その力をつける良いチャンスですし、それは代表にも繋がります」
Bリーグのレベルをより高めることが、日本代表の底上げにつながる一番の特効薬である。それを誰よりも体現している田中が大黒柱として君臨している限り、A東京は王者になれる力を持っているとあらためて感じされられた一戦だった。