「トレードが決まれば僕らは彼と対戦できる」
トレードデッドラインが迫る中、アンドレ・イグダーラの状況に進展はない。彼はウォリアーズからグリズリーズへとトレードされたもののチームには帯同していない。35歳のイグダーラに第一線を退くつもりはなく、優勝を狙えるチームへのトレードを待ちながら、身体をケアして来るべき次の挑戦に備えている。
グリズリーズは彼がチームに帯同しないことを認めはしたが、見返りなしに放出するつもりはない。しかし、優勝候補の筆頭であるレイカーズとクリッパーズは動かない。彼が持つプレーオフを勝ち抜くための経験は貴重だが、35歳の彼を獲得するために1巡目指名権とトレードして、1700万ドル(約18億円)の高額契約を引き受けるのは気が進まない、といったところだろう。
このタイミングで彼に興味を持っているとされるのはマーベリックスやセブンティシクサーズで、つまり有望な若手を擁しているがプレーオフを勝ち抜く経験に乏しいチームだ。いくつかのチームが水面下で探り合いを続ける状況で、耐えられなくなったのがディロン・ブルックスだ。ピストンズ戦の勝利に15得点で貢献した彼は、この件に言及した。
「彼は偉大な選手であり、自分のキャリアのために正しいと思うことをやればいい。でも、それは僕らとは関係ないこと。もう待っていられないよ。トレードが決まれば僕らは彼と対戦できる。メンフィスがどんなチームか思い知らせてやる」
常勝のウォリアーズを離れて、再建期のグリズリーズのために汗を流すのは気が進まない、というのがイグダーラの考え。ただ、ブルックスが問いかけたいのは、「本当にグリズリーズはプレーする価値のないチームなのか」ということ。優勝を狙えるチームではないにせよ、ここまで25勝25敗で激戦の西地区で8位とプレーオフ圏内につけている。ポテンシャルはあってもプレーオフでの実績はないマブスやシクサーズに行くなら、グリズリーズでも良いはずだとブルックスは言いたいのだろう。
このブルックスのコメントを伝えるジャーナリストのツィートに、ジャ・モラントも賛同を表すアイコンを付けて投稿した。それでも、彼らの思いがイグダーラを動かすことはないだろう。彼は古傷を抱えたベテランで、無駄な消耗は避けるべきだ。彼は一方的にグリズリーズを無視しているのではなく、正式に了解を得た上での行動だ。この数カ月の活動休止期間に身体のメンテナンスをすることは彼のキャリアをより長く、充実させるためにば有意義だ。
ただ、ここで一つ因縁が生まれたことで、モラントやブルックスとイグダーラが対戦することになれば盛り上がる。それが今シーズンのプレーオフで実現するのか、イグダーラがどのユニフォームを着ているのか、ファンは想像するだけでも楽しめるものだ。