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カンター怒りの大活躍も、レブロンに屈する

キャバリアーズのレブロン・ジェームズの発言は、些細なものでもメディアによって取り上げられてしまう。それを本人も理解していたのだろうが、思わぬ形で『飛び火』してしまった。

レブロンは、11月11日に行なわれたマーベリックスとの試合後、ルーキーのデニス・スミスJr.を「ダイヤの原石」と称賛した。その際、今年のドラフト全体9位指名権を行使してスミスJr.を指名したマブスではなく、8位指名権を持っていたニックスについても言及し「彼は本来ニックスの選手になるはずだったのに」とコメント。

レブロンはフランク・ニリキナの名前を出したわけではない。しかし、スミスJr.の指名を見送った判断は間違いで、すなわちニックスが全体8位で指名したフランク・ニリキナがスミスJr.より劣ると受け止めることもできる。実際、ニックスの選手からは抗議の声が挙がっていた。

特に怒っていたのが熱血漢のエネス・カンターだ。「誰であろうと、俺の家族に無礼なことを言うな。俺はチームメートや球団を家族のように考えている。レブロンだろうと、誰だろうと関係ない。頼むよ、ニリキナはまだルーキーじゃないか」とメディアに語っていた。

こうして『何か起こりそうな気配』の漂う試合で事件は起きた。第1クォーター終了間際、ドウェイン・ウェイドからのパスに反応しレブロンがアリウープを決める。ここでリスタートのためにボールを拾うニリキナがレブロンにぶつかりに行った。しかも2度。ルーキーの非礼をとがめるレブロンにすかさずカンターが詰め寄る。両者ともテクニカルファウルを取られ、アリーナは一触即発の空気となった。

騒動の主役となったニリキナが7スティールを記録する猛烈なディフェンスを見せ、カンターは20得点16リバウンド4アシストと大活躍。こうして第3クォーター終盤には23点差を付けたニックスだが、最終クォーターでキャブズの3ポイントシュート攻勢を浴びて101-104で敗れた。

試合後、騒動に注目が集まったのは当然のこと。カンターが「彼がキングなのかクイーンなのかプリンセスなのか、俺は知らない」と発言すると、これを伝え聞いたレブロンは「僕がキング、妻がクイーンで娘がプリンセスだよ」と苦笑混じりで答えた。「カンターはいつも怒っている。何に腹を立てているのか分からない」

『口撃』でいくら上回っても意味はない。レブロンはこの試合の終盤、勝利を大きく引き寄せる3ポイントシュートを、クリスタプス・ポルジンギスとの1on1を制して決めている。この日の勝負は、レブロンの、そしてキャバリアーズの勝利だった。