フリースローにまつわる「慣習」には理由があった
NBAの選手はなぜ、フリースローをシュートした後でお互いの手を叩き合うのか、そしてコートに倒れた選手はチームメートが起き上がるのをサポートするのを待つのか?
これは、Q&Aサイト『Quora』に投稿された質問だ。実際にケビン・ホーと名乗る自称「生涯ウォリアーズファン」が回答を寄せている。専門家の意見かどうか不確かであることをご承知の上で目を通して頂きたい。
以下、回答訳。
NBAでフリースローを成功させるには、選手個々の能力以上に心理状態(自信、重圧への対応、考え過ぎないこと)と一貫性(筋肉の記憶、ルーティン、反復性)が重要になる。NBAでプレーする選手にその能力が備わっているのは当然で、フリースローを著しく苦手としたシャキール・オニール、現在も成功率がなかなか上がらないドワイト・ハワード(ロケッツ)も、練習では高い確率でフリースローを決めている。
フリースローをリリースした後にチームメートと手を叩き合う行為は、心理状態と一貫性にとってプラスになる。成功か不成功かを問わずチームメートのサポートがあると感じられれば、試合結果にかかる重圧以外に社会的な圧力がかかることはない。そして毎回同じ動作を行なうことで筋肉の記憶形成、ルーティン構築にも役立つ。
これは、フリースローを打つ前に選手が取る一貫した動作(サンダーのケビン・デュラントがフリースローを試投する前に身体を震わす動作など)、野球で言えばバッターが投手の投球前に取る決まった動作と似た効果を発揮する。
コートに倒れた選手にチームメートが手を貸し、起き上がらせるという行為にも、同様の心理的効果がある。チーム内の友情を確認し、士気を高められるのだ。試合を見れば、実際に友人同士であったとしても、敵味方同士で試合中に倒れた相手に手を差し伸べる選手がいないことに気がつくだろう。
もっとも、こちらはメンタルではなくフィジカルの問題でもある。コートに倒れて自分自身の力で起き上がろうとすると、シュート時に使う上腕三頭筋に負荷をかけてしまう。たとえばフリースロー10本、腕立て伏せ、それから再びフリースロー10本というトレーニングをしてみてもらいたい。2セット目にはシュートの距離が落ちているはずだ。逆に、チームメートを起き上がらせる側が使うのは上腕二頭筋なので、シュート時への影響は少ないということなのだ。