文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

インサイドを制す10点17リバウンドの活躍

11月5日千葉ジェッツとの第2戦、栃木ブレックスは終盤までもつれた接戦を制し、前日の雪辱を晴らした。

勝因となったのは『ディフェンス』と『リバウンド』という栃木の根幹をなす2つの要素の復活だった。ライアン・ロシターが不在という状況で、その要素をチームにもたらしたのは竹内公輔だった。序盤からオフェンスリバウンドを何度も拾い、それを得点につなげていく。リバウンドはシーズンハイの17。今シーズン2度目となるダブル・ダブルを達成した。

「毎試合こうやってたくさんリバウンドを取れたらいいんですけど、自分のほうにボールが跳ねてきてくれて今日は運も良かったかな」と竹内は謙遜する。それども「取れるか分からないですけど、毎試合これくらい取る気持ちでやっていきたい」とリバウンドへの強い思いを語った。

王者として臨んだ2年目のシーズンは開幕から低空飛行が続いていた。実に開幕戦以来となるブレックスアリーナでの勝利に喜びもひとしおだ。「これだけ負けているのにファンは応援してくれているんだという責任感というか、目に見える結果が出て良かったと思っています」

選手とファンが一体となって手にした勝利を竹内はこう語る。「違うチームにいた時にブレックスと対戦して本当に嫌でした。ディフェンスで頑張ってああやって速攻が決まって、観客がバーッと盛りあがるというのが本当に嫌でした。ああいうのをもっとやっていきたいなと思います」

かつて何度も栃木と対戦した経験を持つ竹内は、『敵』だった頃の光景を思い出したのか苦笑いを浮かべた。かつての強敵が今は最強の味方となっている。

「テクニカルをとられたらただのアホです(笑)」

序盤から素晴らしいプレーをしていた竹内だが、審判の笛に対してはアジャストできず、フラストレーションを溜めていた。最終クォーター残り1分47秒、渾身のブロックショットがファウルとみなされ4つ目のファウルをコールされた。あまり感情を爆発させるタイプではない竹内が、納得のいかない様子を見せる。勝利への執念が垣間見えたシーンだったが、それと同時に見ている側としてはテクニカルファウルの危険性を感じた。

「ホームゲームでまったく勝てていなかったので、ファンの方もすごい応援をしてくれていたし本当に勝ちたかったんです」と竹内はその時の心境を語った。ただ、テクニカルファウルについては「取られない程度にやっていて、自分で一応調整はしていて。ある意味でパフォーマンスなんです、周りもちょっと熱くなる、観客も熱くなるというか。テクニカルを取られたらただのアホです(笑)」と心配無用。このあたりがベテランの味ということか。

会心の勝利でチームの方向性が見えた。もうメンバーが変わったことは言い訳にならない。竹内も覚悟は決まっている。「確かにいなくなったメンバーがすごい選手ばかりだったというのはあります。構築するのに時間がかかったというのも正直感じています。ただ『あのメンバーがいたら勝てたのに』と言われるのは絶対に嫌です。新しく来たメンバーがブレックスに馴染んで、今日みたいにやっていけるようにしたい」

もし次節で低調なパフォーマンスに逆戻りしては、今回の勝利の意味はない。そういう意味でも次の川崎ブレイブサンダース戦での内容が大きな意味を持つ。

「川崎はすごい強いですけどそこで連勝を重ねていけたら、チームとしてすごい自信になると思います。まだ5分の1くらいしか終わっていないですけど、あっという間に終わってしまうので、1試合1試合を大事にしていきたいです」

そう話す竹内の表情は清々しいものだった。継続は力なり、冷静かつ熱い気持ちで昨日のようなパフォーマンスを期待したい。