文・写真=鈴木栄一

「クリエイターと言われたほうがうれしいです」

先週末、三遠ネオフェニックスは敵地で横浜ビー・コルセアーズと対戦。4日の試合は65-69で落としたが、5日の第2戦では第3クォーターに28-14と大きく突き放すと、そのまま76-70で逃げ切りに成功した。

この試合、三遠の田渡修人は3ポイントシュート2本中2本成功を含む12得点をマーク。特に勝敗の分かれ目となった第3クォーターに8得点と、文字通り勝利に直結する活躍を披露した。

「第4クォーターの最後、残り5分からの戦い方は良くなかったですが、第1クォーターから第3クォーターはしっかりディフェンスに集中し、リバウンドからの素早いトランジションを出すことができました。今日みたいなバスケットボールをこれからも増やしていきたいです」

こう試合を振り返る田渡は、前日と合わせて今シーズン初となる2試合連続で2桁得点を記録。「人とボールが連動し、ノーマークを作って打たせてくれたので、そこは自信をもって打ったことが2桁につながりました」と、チームオフェンスが機能した結果として自分も得点を伸ばすことができたことを強調する。

昨シーズン、田渡は1試合平均9.2得点と、トップリーグに入ってから自己ベストの1年を送った。特に3ポイントでリーグ4位の成功率(41.2%)を残すなど、シューターとしての活躍が目立ったと言える。

だが、本人は自分のことをシューターとはとらえていない。「僕はもともとポイントガードで、ドライブやピック&ロールなども得意としており、オフシーズンに練習もしてきました。こうしてプレーの幅を広げることで相手がもっとマークに付きにくい選手となって、ノーマークでもらったらしっかり決め切る、そういうプレースタイルに今年は挑戦しています。まだ13試合が終わった段階ですが、ドライブの質が良くなり、シュートを打つまでのレパートリーも増えている手応えがあります」

そして田渡はこう続けた。「シューターよりクリエイターと言われたほうがめちゃめちゃうれしいです」

「弟の存在は刺激になります」

対戦相手の横浜に弟の凌が在籍していることから、今回は『兄弟対決』としても注目を集めた。この点について聞くと、「兄弟で取り上げられることはありがたいです。もし両方とも全く結果を出せていなかったら何もない。弟の存在は刺激になります」と、良いモチベーションへとつなげている。

これで三遠は6勝7敗。スタートダッシュに成功した昨シーズンと比べると物足りない成績ではあるが、外国籍選手がスコット・モリソンだけで開幕を迎えるなどメンバーが揃わず、今節でようやく外国籍3人のフルメンバーとなったことも考慮すれば及第点と評すべきだ。

「ディフェンスリバウンドをしっかり取り、トランジションができている時は、外国籍選手がいなくても戦えています。そこを突き詰めて、誰が出ても変わらないパフォーマンスができれば、もっともっとできます」

今後の巻き返しに向け、このように意気込みを語る田渡。さらに得意の3ポイントシュートを沈めるだけでなく、自らドライブでアタックして味方のシュートチャンスも作り出していく。彼が自身の目指すより多彩な攻めを繰り出すことで、三遠のオフェンスはより破壊力を増すはずだ。