「良い緊張感の中でプレーできました」
1月15日、アルバルク東京は天皇杯明けの初戦となるレバンガ北海道戦に94-71で圧勝した。この試合は12月途中に加入した津山尚大にとってのチームデビュー戦となり、約14分の出場で3ポイントシュート3本中2本成功を含む8得点、4アシスト、ターンオーバーなしとまずまずのスタートとなった。
「実戦からは半年以上離れていたので不安はありました。でもルカコーチの下、試合のような質で練習ができていて、良い緊張感の中でプレーできました」と津山は実戦復帰を振り返る。
指揮官のルカ・パウィチェヴィッチは「小島(元基)の負傷で、ポイントガードでは安藤誓哉に負担がかかっている。天皇杯の後から津山を使うつもりだった」とこのタイミングでの起用は想定通りと明かす。
今オフ、津山はクラウドファンディングを使って資金調達を行い、目標である海外挑戦に踏み切った。当初はヨーロッパを目指していたが、最終的にはカナダのチームに加入する。しかし、早々に契約解除となり、今シーズンは日本に戻ってプレーすることを決断してのA東京入りとなった。
津山は、A東京を新天地に選んだ理由をこう語る。「アルバルクを選んだのは、カナダがダメになった後、ルカコーチが一番に声をかけてくれたからです。それに将来、ヨーロッパでプレーしたい目標があり、日本でプレーするならルカコーチの下で学びたかった」
パヴィチェヴィッチは選手とヘッドコーチの両方で欧州トップレベルの実績を残した稀有な存在であり、ヨーロッパでプレーすることを見据えた場合、A東京を選ぶのは理にかなっている。
ちなみに指揮官は、この試合の津山についてスタッツは申し分のないものだったが、「今日は彼にとって素晴らしい試合というわけではない。司令塔としての課題はある。もっと成長してくれることを期待している」と評する。
ただ、これは期待の裏返し。「とても献身的で勉強熱心だ。半年近く、プロの実戦から離れていたので万全ではないが、なるべく早くチームにフィットして戦ってほしい」と普段の姿勢を称えている。
パヴィチェヴィッチは、津山への期待をこう語る。「フィジカルが強く、相手の激しいプレッシャーを受けてもボールを保持できる。今日も橋本(竜馬)の強いプレッシャーに対してもキープできた。タフなディフェンスでも貢献できるし、3ポイントシュートを決めることもできる」
「リーグ3連覇に貢献することが一番」
いよいよ新天地での本格的なスタートをきった津山は、「クラウドファンディングで支援してくれた人を裏切った形になってしました。今シーズンは日本でプレーして結果を残すしかない」と強い決意を語る。
彼にとっての『結果を残す』は個人スタッツは二の次で、「リーグ3連覇に貢献すること、それが一番です」と定義する。「海外に一度行ったこと自体が僕にとって経験となりました。いろいろ学べて自分に足りないことも見つけられました」。そう語る成果をコートで証明することが、支援してくれた人への何よりの恩返しだ。
小島の離脱後、アルバルクはサンロッカーズ渋谷のように前から激しくプレッシャーをかけてくる相手に対して、安藤がコートを離れている時、ボール運びに苦労する場面も出ている。図らずも次の試合は敵地でのSR渋谷戦、前からの激しいプレッシャーで天皇杯を勝ち取ったチームであり、津山にとっては伊佐勉ヘッドコーチ、山内盛久、渡辺竜之佑と同じ沖縄出身の旧知の面々との対戦となる。
このボールプッシュの部分で津山が安定性をもたらすことができたら、それはA東京にとって大きなプラス材料だ。さらに本人は「今日の試合は外からのシュートを決められて良かったですが、これからはピック&ロールからのプレーメークも見せていきたい」と意気込む。
このSR渋谷戦を皮切りに2月頭まで宇都宮ブレックス、川崎ブレイブサンダースと強豪との対戦が続く日程は、A東京にとって後半戦における大きな山場。津山にとっても、自らの存在を示す絶好のアピールチャンスとなる。