エース比江島を欠くも、慌てず戦う三河
大阪エヴェッサとシーホース三河の対戦は延長にもつれるも、終始主導権を握りラストプレーを防いだ三河が接戦を制した。
三河は今シーズン開幕から11試合すべて先発を務めて来たエースの比江島慎がベンチスタートで、結局コートに立つことはなかった。さらには橋本竜馬、金丸晃輔と代表組の3人全員が先発を外れた。それでも今シーズンの三河は選手層の厚さが武器。初先発の森川正明が第1クォーターで5得点、ダニエル・オルトンがインサイドで強さを見せ8得点を挙げるなどリードする。一方、大阪は熊谷尚也が高確率でシュートを沈め第1クォーターだけで7得点を挙げ、ジーノ・ポマーレもペイントエリアで奮闘し6得点を挙げ食らいついた。
34-31と三河がリードして迎えた後半開始2分、三河は熊谷に2本連続の3ポイントシュートを許し39-40と逆転を許す。だが、三河はここからディフェンスを引き締める。ハイプレッシャーでタフショットを打たせ、時にはダブルチームを仕掛けてターンオーバーを誘うなど、大阪を約4分間無得点に抑えた。橋本竜馬とのダブルチームからボールを奪った桜木ジェイアールが速攻からバスケット・カウントを沈め、52-42とリードを2桁に広げた。
ここまで2桁の点差がつくとそのまま崩れてしまう悪癖のあった大阪だが、この試合ではしぶとく粘る。最終クォーターに入ってもビハインドを背負う大阪の粘り強さが光る。三河の強力なオフェンスを止められないが、それでも1本ずつシュートを返してチャンスを待つ。そして残り25秒の場面、デイビッド・ウェアがこのクォーター2本目の3ポイントシュートを沈め73-71と勝ち越した。
しかし、三河は慌てない。タイムアウトを取りオフェンスを確認すると、桜木がポストプレーから強引にシュートをねじ込んで73-73の同点に追いつき、大阪の最後のオフェンスを防いで延長戦に持ち込んだ。
インサイドの優位を生かした三河が競り勝つ
こうなると試合巧者の三河のペースに。橋本の2本の3ポイントシュートで先行するとリードを保ちながら試合を進める。残り31秒に同点とされるも、桜木がファウルを誘いフリースローを獲得。1本の成功にとどまったが87-86と勝ち越しに成功する。残り14秒、合田怜のペネトレイトに対しダブルチームでパスコースをふさぎ、インサイドへのパスを弾くと、橋本がそのこぼれ球を拾い試合終了となった。
三河は桜木が23得点6リバウンド9アシストと大黒柱としての役割を果たした。またオルトンが18得点、アイザック・バッツが12得点とインサイドの優位が光った。オルトンが11本中10本、桜木が11本中7本と多くのフリースローを獲得し、高確率で決めた。接戦が続く中、チームで25本中20本を決めたフリースローの差は大きかった(大阪は17本獲得の11本成功)。鈴木貴美一ヘッドコーチは「今日は代表組の選手が怪我をしていて、スタート3人がいつもと違うメンバーで行って、非常になれてない部分があって苦しかったんですが、お互いディフェンスゲームになって良いゲームになった」と手応えを語る。
敗れた大阪は熊谷が両チーム最長となる41分間コートに立ち続け、ゲームハイの24得点を記録。すでに大阪のエース格になりつつある。また合田が10得点4アシストと要所での働きが光ったが、勝敗に直結する第4クォーターのラストショットは決められなかった。