「彼自身も、自分の力を分かっていなかったのかもしれない」
2019-20シーズンのサプライズプレーヤーを挙げるなら、ヒートのバム・アデバヨは外せない。
3年目の今シーズン、アデバヨは先発に定着し、平均15.8得点、10.4リバウンド、4.5アシスト、1.2ブロック、1.3スティールを記録し、どのカテゴリーでもキャリアハイの数字を残している。この活躍に驚きを隠せないのはスパーズのヘッドコーチ、グレッグ・ポポビッチだ。アメリカ代表のヘッドコーチも兼任するポポビッチは、昨年の夏に中国で開催されたFIBAワールドカップを戦ったロスターにアデバヨを加えなかった。
シーズンを通してもっとも成長した選手に贈られるMIP賞候補に挙げられる可能性もあるアデバヨについて、ポポビッチは「代表のトライアウトの時とは別人になっている。私が『彼は代表でプレーする準備ができていない』と発言した時点では、彼は能力を発揮していなかった」とコメント。その急成長の理由を、名将ポポビッチは次のように分析している。
「おそらく、これまでは必要以上に周りの意見に従っていたのだろう。彼自身も、自分の力を分かっていなかったのかもしれないね。もし今トライアウトをしたら、彼の評価は一変するよ。違った形で見ていたら、彼の力を引き出せていたかもしれない。そう思うと、これは私の責任でもあるね」
アデバヨ以外にも、アメリカ代表最終候補に残りながらワールドカップ出場を逃した選手は少なくない。
ワールドカップを屈辱の7位で終えたアメリカは、2020年の夏に開催される東京オリンピックで金メダルを獲得するため、最強メンバーで日本にやって来る。そのロスターにアデバヨを加えるかどうか、ポポビッチは今年の夏も頭を悩ますことになる。