富山の『竹内対策』の上を行く働き
アルバルク東京は10月28、29日の富山グラウジーズとの連戦に勝利し、連勝を7に伸ばした。A東京の不動の4番、竹内譲次は2戦合計42分間の出場で35得点と圧倒的なパフォーマンスを見せた。
第1戦で富山は今シーズン初めてオン・ザ・コート数を「1-2-1-2」から「2-1-2-1」と変更して臨んだ。指揮官のミオドラグ・ライコビッチは「重要な選手である竹内にサプライズを与えたかった」と変更理由を明かした。4番ポジションで竹内に外国籍選手をぶつけ、そこで強みを出す作戦だ。それでも竹内はその上を行き、フィールドゴール9本中8本成功の19得点を挙げた。
第2戦目ではオン・ザ・コート数を戻した富山だったが、竹内を止めることはできなかった。「インサイドでもらった時は昨日より相手のディフェンスが寄ってる感じはありました。あれぐらいだったら決めなきゃいけない」。淡々と話す竹内のコメントに現在の充実度がうかがえる。
今年で11シーズン目を迎える竹内だが、タイムシェアを徹底するチーム状況もあり、現在のところプレータイムは過去最短の平均21分にとどまっている。だが得点や3ポイントシュート成功率などシュートに関する数字はキャリアハイとなっており、効率の良さが数字に表れている。
ほぼキャリアハイ「良い状況判断をしようと心掛けている」
今シーズンは今まで以上に気合が入ってるように映る。「よくそう言われますが、コーチには積極的に行けと言われてますし、良い状況判断ができてるのではないか」と本人に特別な自覚はないようだ。
オン・ザ・コート数が「1」の時間帯での日本人ビッグマンの働きは、勝敗に直結すると言っても過言ではない。その中で竹内の存在感は群を抜いている。「そこまで強くは思ってないですけど、自分のところでしっかりイニシアチブを取れるようにとは思ってます」と竹内。
「得点だけ取ればいいわけじゃなくて、他にもやることがあります。自分にマークが寄ればパスしますし、良い状況判断をしようと心掛けている、それが良い結果につながってると思います」と、頭の使い方が現在の高パフォーマンスの理由と分析する。
さらにフリースローの成功率は94.7%(リーグ3位)と高確率なため、守る側は安易にファウルで止めるわけにもいかない。「相手のチームファウルがかさんでる時に、外だけじゃなく接触のあるプレーを選択したりします。シュートを打つべきなのか、ドライブするべきなのか、コーチがその判断を重要視しているので、そこがうまくいってます」と『状況判断』が極限まで研ぎ澄まされているという。
「チームとしてやるべきことが明確になってきた」
竹内の活躍もあり優勝候補筆頭のA東京は、現在10勝1敗でシーホース三河と並びリーグ首位に位置している。「チームとしてやるべきことが明確になってきました。何人かメンバーが変わりましたが、すごく良い方向にチーム全員で向かえているのかなと思います」と好調なチームの理由を話した。
昨シーズンのA東京には元NBA選手のディアンテ・ギャレットという絶対的なスコアラーがいた。そのため、『困った時はギャレット』となってしまい、彼のパフォーマンスの良し悪しによって勝敗が決まることもしばしばあった。だが今シーズンはチームハイのアレックス・カークが平均15.3得点、ジャワッド・ウィリアムズが12.3得点、竹内が11.4得点、田中大貴が10.9得点、安藤誓哉が9.6得点と5人がどこからでも得点できるスタイルを確立。これが安定した力を発揮する要因となっている。
アンセルフィッシュな竹内は自分の働きを誇ろうとはしない。その中で「自分のところでしっかりイニシアチブを取れるように、フレキシブルなプレーを見てほしい」と控えめに自身の注目ポイントを語った。
竹内の安定感はタレント集団の中でも際立っている。確かな状況判断で高いパフォーマンスを見せる竹内を擁するA東京には死角が見当たらない。