文=鈴木健一郎 写真=FIBA.com

『走るバスケ』と『全員バスケ』で勝利を引き寄せる

インドで開催されているU16アジア選手権は昨日が大会3日目。タイ、香港と格下相手に100点ゲームで大勝したU16日本代表は、グループリーグ最終戦で中国と対戦した。

センタープレーヤーでも181cmしかない日本に対し、190cm台後半のビッグマンを擁する中国は高さで圧倒的優位を有していた。立ち上がりこそ先行した日本だが、その後は高さとパワーで抑えてビハインドを背負う。

それでも、30-34でスタートした後半から日本はペースを上げて対抗。攻守でカギとなる中国の195cmのセンターに常時ダブルチームで対応、ボールが入ればトリプルチームも仕掛け、それでも止められなければファウルで止めた。これで起点を潰された中国はターンオーバーを連発。日本はそこから速攻を仕掛けて、林未紗がアタックで相手を引き付けフリーの三浦舞華につなぐ攻めで逆転に成功する。

日本のスピーディーなバスケットが始まると、前半は中国のストロングポイントだったはずの巨体のセンターが走る展開に付いていけなくなる。ファウルで止められ、それで得たフリースローが決まらず、これで中国は完全にリズムを狂わせてしまった。

逆に、走る展開になれば日本のセンターもスキルやシュートレンジの広さが生かせるようになり、持ち味を発揮。38-38の同点から7-0のランで日本が突き放すと、3連戦の3戦目とあってタイムシェアで運動量を保った日本が付け入る隙を与えない。

終盤の勝負どころで守備が機能、約5分間失点を喫せず

第4クォーターに入ってもマヤ・ソフィア・マッカーサーがダイナミックな動きでオフェンスリバウンドをもぎ取り、そのままバスケット・カウントの3点プレーを決めて10点差に。その後は約5分間を無失点に抑えて9-0のランで68-49とし、試合を決めた。

終わってみれば70-53と大差での完勝。リバウンドも45-57と負けてはいるが十分に競った。アシストで15-9と上回りつつ、中国から22ものターンオーバーを誘発(日本は8)。また70得点のうち32得点がベンチメンバーによるもので、まさにチーム力で上回った結果と言える。

これで日本はグループBを3戦全勝の1位で通過。今日が休養日となり、明日の準々決勝でチャイニーズ・タイペイと対戦する。これに勝てば4強進出で、同時に来年に行われるU17女子ワールドカップへの出場権を得ることになる。油断は禁物だがグループA全敗チームのチャイニーズ・タイペイに勝つことは難しくないだろう。その先に当たるであろうニュージーランド、そして順当に行けば決勝で当たるオーストラリアを倒し、アジアチャンピオンとなってもらいたい。