エナジー不足の川崎、早々に主力を下げる完敗
富山グラウジーズが1月5日、敵地で川崎ブレイブサンダースと激突。序盤から攻守で圧倒し、第1クォーターでいきなり18点のリードを奪うと、すべてのクォーターで相手を上回る盤石の試合運びで88-56と圧勝。前日23点差で敗れた雪辱を果たし、川崎の連勝を16で止めている。
試合後、川崎の佐藤賢次ヘッドコーチが「2回目のディフェンスからすでにエナジーがなかった。簡単にボールを運ばせて、ボールをゴール下に入れさせる。プレッシャーもなく、ただ手を上げているたけでした」と語る緩慢なディフェンスを富山が突き、第1クォーター開始早々から猛攻を仕掛けた。
ターンオーバー奪取からの速攻、ジョシュ・ペッパーズ、前田悟の3ポイントシュート炸裂によって開始5分で14-2と先行。その後、ニック・ファジーカスの得点で追い上げられるも、残り2分、富山は再びターンオーバー奪取から速攻に繋いでレオ・ライオンズ、ペッパーズによる連続バスケット・カウントと怒涛の連続11得点で31-13と突き放した。
第2クォーターも、この流れをキープした富山が46-27の大量リードで前半を終える。
第3クォーター、なんとか巻き返したい川崎は前から当たる激しいプレッシャーディフェンスからリズムをつかんで7連続得点。だが、ここで富山は本日15得点の前田が3ポイントシュートを2本連続で決めて、川崎の流れを断ち切った。第4クォーター、川崎ではファジーカスがプレーせず、ジョーダン・ヒースも約4分の出場のみと中心選手を下げたことで、富山がそのまま楽々と逃げ切った。
天皇杯ファイナルラウンド初進出「勢いがついた」
富山の指揮官ドナルド・ベックは、「勝つためには3つのことをやらないといけない。それはディフェンス、オフェンスの遂行力、リバウンドで、今日はこの3つとも良かった。そしてスマートにプレーできて、ターンオーバーも多くなかった」と選手たちを称える。
「昨日もプレー自体そんなに悪くなかったが、川崎のシュートがよく入った。今日は3ポイントシュート、トランジションを抑えられた。毎回ではないけど、今日はうまくいった」と続けた指揮官は、9日に行われる天皇杯の宇都宮ブレックス戦に向けて弾みがつくと笑みを見せた。
「富山にとっては、天皇杯で初めてのファイナルラウンド進出。この勝利で勢いがつき、ポシティブな雰囲気で臨める」
一方、まさかの大敗で連勝ストップの川崎は、佐藤ヘッドコーチが総括するように良いところなしの完敗だった。「出だしからチームでやろうとしていたことを全然できず、相手に流れを持っていかれて、そのまま終わってしまった。ファンの皆様に申し訳ない試合をしてしまった」
60試合と長丁場のレギュラーシーズンにおいては、時に何もかもうまくいかない時もあるもの。川崎にとって、今日の試合がそれに当たっただけとも言えるが、一方で天皇杯前の最後の試合というのはイメージが良いものではない。
故障者が相次ぐ川崎「信じてぶつかるしかない」
篠山竜青、マティアス・カルファニと主力が離脱する中、天皇杯に向けて指揮官はこのように意気込む。「ケガ人が出ている中でも、チーム状況としてそこまで悪くなかったです。やるべきことはぶれずにできていたと思います。しかし、今日、こういう試合内容になった。もう一度、反省して前に進むしかない。今までも負けて前に進んできました。連勝は続いていましたけど、勝って反省の多い試合もありました。やることは変わらないです」
川崎は16連勝を果たしたとはいえ、そのうち14勝は勝率5割以下のチームから。残りの2勝も指揮官交代の渦中にあった琉球ゴールデンキングスから挙げたもので、東地区の難敵とは一度も対戦していない。
ここ数年、中地区、西地区のチームが、東地区の強豪と対戦すると、強度の高いプレーに対応できずに敗れるケースが少なくない。それは過去2シーズンの天皇杯、プレーオフとここ一番における川崎も同様だった。この負の流れを断ち切ることができるかどうかは川崎にとって大きな意味を持つ。
天皇杯ファイナルラウンドでは初戦の準々決勝で、東地区の王者A東京と対決する。
『やっぱり勝つのは東地区』の流れを止められるのか。「やってみないと分からないことはもちろんあります」と前置きしながらも、佐藤はそのための備えはしてきたと言う。「東の強豪との対決を見据えて準備をしてきた自信、試合以上に激しい練習を積んできた自負はあります。今は連戦の中でなかなか練習ができないので少し不安はありますが、やってきたことを信じてぶつかるしかないです」