文・写真=鈴木栄一

司令塔の富樫に対し徹底的にフィジカルで止める作戦

10月21日、大阪エヴェッサが敵地に乗り込んで千葉ジェッツと対戦。第1クォーターでいきなり15点のリードを奪うと、最後まで試合の主導権を握り続け、84-68で快勝した。

この試合、まず勝敗の分かれ目となったのが第1クォーターだ。大阪は今シーズン初めてオン・ザ・コート「2」で臨んだ選手起用が当たる。グレッグ・スミスを軸にインサイドで得点を重ねると、木下博之、熊谷尚也も効果的にアウトサイドシュートを沈めるなど、堅守を武器とする千葉を圧倒。

「出だしは自分たちが出来すぎで、逆に千葉はソフトに入ってきてくれました。そこの部分で主導権を握れました」と桶谷大ヘッドコーチが振り返るように会心のスタートを切り、29-14と大きく先行した。

そしてもう一つは千葉の司令塔である富樫勇樹への対策だ。今野翔太、合田怜とフィジカルの強さが持ち味の2人で徹底マーク。その結果、富樫をシュート12本中3本成功による9得点に抑え、5ターンオーバーを誘発と見事に抑えたことだ。

「今野と合田で富樫選手に対して、フィジカルにプレーして守る。自分たちのオフェンスでは徹底して富樫のところでスクリーンをかけていきました。引いて守るなど定番通りに守ったら彼は楽にプレーしてしまいます。富樫君の3ポイントシュートが決まると、千葉の流れが始まるのでそこは徹底的に止めたい。自分たちはアグレッシブに彼にアタックしていこうと話し、それをよくやってくれたと思います」と桶谷ヘッドコーチは富樫対策を明かした。

ファウルと吹かれてもおかしくないような激しい当たり、また、今シーズンここまでなかったオン・ザ・コート「2」でのスタート。この2つの仕掛けを行った理由を、指揮官は「普通にプレーしたら勝てない。アグレッシブにプレーして、主導権を取らなければと思っていました」と語り、先行逃げ切りの狙いががっちりとはまった。

「明日、止められるようになったらチーム力が付く」

千葉の大野篤史ヘットコーチは、「良いところが全くなく、自分たちらしさを出せませんでした。エナジーを出すべき部分、ディフェンスの激しさ、リバウンドへの執着心がなかったです」とコメント。

富樫がいつものようなプレーを見せられなかった点については、彼自身の問題というより、「自分たちのリズムが出せないまま彼にボールを託してしまった部分が問題です」と、チームとしての低調なパフォーマンスに拠る部分が大きかったと見ている。

仕掛けが的中しての快勝だった大阪だが、桶谷ヘッドコーチは「今日はたまたまうまくいった部分もあると思います。明日はそうはうまくはいかない。富樫選手について、明日はスクリーンなどいろいろと工夫していると思います」と、明日も同様の展開になるものとは考えていない。しかし、だからこそ「明日、相手の対応策を止められるようになったらもっとチーム力がついてきます」とさらなるチームの進化へ、難敵相手への連勝を貪欲に狙っていく。

開幕5勝1敗スタートの千葉に対し、1勝5敗の大阪かつ、千葉のホームゲームということで、千葉有利の見方が多かったこのカード。しかし、大阪の会心のパフォーマンスで、第2戦が俄然面白くなってきた。

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