文=丸山素行 写真=鈴木栄一

「良いチームを作るためにベストな24人を呼んでいる」

Bリーグが開幕して、代表の強化合宿も再開された。昨シーズン中は月1回の開催で、代表選手たちはBリーグのゲームを終えるとその足でナショナルトレーニングセンターに向かい、そのまま強化合宿を行っていた。今回はワールドカップ1次予選の最初の2試合となる11月24日のホームでのフィリピン戦、その直後にアウェーでのオーストラリア戦を控え、Bリーグの平日開催がある来週を除き、代表候補の24選手は毎週集まって強化合宿を行う。

「できるだけ良いチームを作るためにベストな24人を呼んでいるつもりだ」と代表ヘッドコーチのフリオ・ラマスは言う。

「ベストなプレーヤーを集め、できるだけベストなチームを作る。7月より今のほうが日本のバスケについてより知っているが、まだ慣れないといけないし、知らないといけない。あと2か月でそのプロセスが完了して日本のバスケが理解できる。そのプロセスのためにもこのキャンプが必要だし、Bリーグの試合をもっと見る必要がある」

今回行われたのは、初戦のフィリピン戦までに5回予定されている強化合宿の1回目。「最初の3回は自分たちの一番重要な部分にフォーカスして練習に取り込もうと思う。それを完璧なまでに理解してもらい、残りの2回で実行できるように」

それぞれの合宿で「ディフェンスに集中するだけ、オフェンスに集中するだけ、アタックとかリバウンドという単発ではなくすべてをやる。ディフェンスについても1回やって、次はまた違うディフェンスをやる」と、総合的にチームのレベルを高めていく取り組みだ。

「国内での競争が高まれば代表も自然と強くなる」

日本代表で結果を出すのがラマスの仕事だが、Bリーグ期間中に合宿を繰り返す中で、選手たちの所属クラブにもリスペクトを示すという姿勢も強調した。「土日で試合をやって選手たちは疲れている。月曜は練習ではなく説明をして、火曜と水曜はバスケの練習をしてもらう。クラブに戻ればまた試合があるので、選手たちを大事にしないといけないという思いがある。使える時間をうまく利用して、あとは良いコンディションでクラブに戻す。Bリーグと代表が融合して、一緒に日本バスケ界の成長を求めるのが私の考え」

「日本のバスケットは一つ。今はBリーグのシーズン中で、Bリーグが成長すれば、それは日本人選手も成長して代表も強くなっていくつながりがある。国内での競争が高まれば代表も自然と強くなる。これはアルゼンチンでもスペインでもそうだった」

日本代表のヘッドコーチとして初采配を振るったアジアカップでは韓国に逆転負けを喫してベスト8進出は果たせず。それでもラマスはその敗戦の中からも収穫を見いだしている。「ほんの少しの成長や管理、フィジカル面の強化やチームとしてのトレーニングで次は勝てると考えている。もちろん簡単じゃない。20年ぐらい韓国に勝っていないという事実がある。誰も我々にプレゼントしてくれるわけではなく、自分たちが勝ち取らないといけない」

強いチームを作るのに近道はなく、一つひとつ積み上げていくだけ。それでもラマスは確信をもって、日本代表の強化に取り組んでいる。