文・写真=鈴木栄一

足が止まる流れを「自分がコートに出た時は変えよう」

10月14日、サンロッカーズ渋谷は名古屋ダイヤモンドドルフィンズとのホームゲームに87-81で競り勝ち、連敗を3で止めることに成功した。

勝利の立役者となったのは司令塔の伊藤駿だ。5点を追う残り約4分から伊藤がジャンプシュートを2本、さらにレイアップと3連続得点を挙げ、残り1分45秒で逆転に成功。伊藤の活躍で勢いに乗ったSR渋谷は、そのままリードを保って勝ち切った。

8本中6本成功とシュートを高確率で沈めて13得点をマークした伊藤は、試合をこう振り返る。「連敗を3で止め、そしてホームでの初勝利は、僕としてもチームとしてもうれしいです。第3クォーター、第4クォーターの途中まで足が止まる時間帯が多かったので、その流れを自分がコートに出た時は変えよう、セットオフェンスよりみんなで走ろうという話をしました」

また、残り第4クォーター最後の残り約5分で無失点に抑えたディフェンスについては、次のように修正ができたと語る。「前半以上に相手のピックプレーに対するディフェンスをハードにできました。そして、単純に1対1のところで相手の好きなようにやらせないように、選手一人ひとりが意識を持ってできました」

さらに前半は16本中9本成功と高確率で名古屋Dに決められていた3ポイントシュートを、後半は7本中1本成功に抑えることができた理由を「前半は単純にインサイドにボールを集められた時、他のプレーヤーがボールを見てそこでさばかれて3ポイントシュートという場面が多かったです。後半はその部分について、単純にやらせなかったです」と分析した。

「大事なところで活躍したいが、チームファーストで」

SR渋谷はシーズン開幕戦で琉球ゴールデンキングスに勝利するが、翌日の試合に敗戦。さらに先週はホームで三遠ネオフェニックスに連敗を喫し、勝久ジェフリーヘッドコーチは「ホーム開幕2連敗を重く受け止めています」と深刻な表情で語っていた。

それだけに伊藤も「この試合の前、危機感はもちろんありました」と言う。さらに「先週の試合が終わった後にサクレが『しっかりやろう』と話してくれるなど、気持ちの部分でも気合が入っていたと思います。また、システムにも変える要素があり、それが良い方向に向かいました。どんどんプッシュして、足を止める時間を少なくするオフェンスを心がけました」と続け、メンタル、戦術の両方でのテコ入れがうまく行ったと見ている。

そして勝負どころでの自身の得点については「前半こちらのピック&ロールに対し、相手がスイッチで対応してきました。その際、相手のセンターが、自分に対して厳しくついてこなかったので、チャンスがあれば打とう。それ以外でもタイミングが合えば打っていこうと思っていました」と振り返った。

ただ、ポイントガードとして自ら決めることではなく、他の選手の持ち味を発揮させることこそが優先事項と考えている。「大事なところで決められたのは自信になります。キャプテンとして大事なところで活躍できる選手になりたいですが、そこだけでなくチームファーストで考え、どれだけ個々が良い気持ちでプレーできることを考えていきたい」

最後に伊藤は「今年のスローガンは『Together』であり、プレーヤー、スタッフ、そしてファンの皆さんと一緒に戦っていくことを僕自身すごく意識しています」と語り、ファンの勝利の喜びを分かち合えたことへの充実感を強調した。今節からジャマール・ソープが加入、広瀬健太が故障から復帰したことで陣容が揃ったSR渋谷としては、15日の試合も勝って勢いを加速させたいところだ。