オクラホマシティにとってKDは「ただのエース」ではない。
今オフ最も注目されるフリーエージェント選手として名前が挙げられているサンダーのケビン・デュラントは、サンダーに残留するか、もしくは優勝を目指し新天地へ移籍するかを熟考中だ。
ウォリアーズ、セルティックス、ウィザーズなど複数のチームが獲得競争に名乗り出る中、サンダーの本拠地オクラホマ州の知事が、デュラント残留を願ってある提案をした。
『Tulsa World』によれば、メアリー・フォーリン知事は、もしデュラントが残留を決めた場合、健康関連部署の諮問委員として、デュラントを陣営に加えたいと語ったそうだ。
「私はそうならないことを願うが、もしケビン・デュラントがサンダーを離れる決断をしても、オクラホマは今後も変わらず彼を愛するし、彼もオクラホマに対する愛情を変えないでしょう。もし残留してくれるなら、健康部門の諮問委員に加わってもらいたい」
サンダーが本拠地をシアトルから同市に移転させた2008年頃は、商業ビルなどの施設の数が今より少なかった。デュラントを中心としたサンダーの成績向上、人気急騰に伴い、オクラホマシティの知名度が上がったと言える。町興しとしての役割を担うサンダーは、オクラホマ州になくてはならない存在となっているのだ。
小規模都市をホームに持つサンダーの優勝は、来シーズン以降にお預けとなった。しかし、地元ファンは街を代表して戦うサンダーを心から応援し、結果にかかわらず、チームが敵地から帰るたびに、温かい声援とともに出迎え続けている。そんなチームの象徴であるデュラントへの思い入れの強さは、他のチームのファンがエースに抱く思いとは別格なのだ。
だが同時に、サンダーを応援する市民の大半は、FAという選手の権利が何を意味するのかも理解している。だからこそ、知事のコメントにもあるように、仮に退団を決断しても、「双方が愛する関係性に変わりはない」という図式が成り立っているのだ。
2014年5月のこと。シーズンMVPを受賞したデュラントは、その授賞式でのスピーチ後、オクラホマシティのファンに感謝の気持ちを言葉で伝えた。
オクラホマ州全体にとって、デュラントはバスケットボール選手の域を超えた存在になりつつある。