文=鈴木栄一 写真=野口岳彦、鈴木栄一

ホームのファンに挨拶代わりのダンク2発!

10月9日、アルバルク東京は新潟アルビレックスBBと対戦。序盤から接戦が続く中、第3クォーター終盤に突き放すとそのまま78-72と今シーズン初のホームゲームを勝利で飾り、開幕3連勝を達成した。

この試合、最も会場を沸かせたのはルーキーの馬場雄大だ。第2クォーター残り約5分では、203cm132kgの巨漢ダバンテ・ガードナーのコンタクトを受けながら豪快なダンクを決める。さらに第3クォーター残り約3分、49-52と追いかける場面で同点の3ポイントシュートを決めると、直後にスティールから本日2本目のダンク。これで勢いに乗ったA東京は、リードを10点にまで広げて第4クォーターに突入し、そのまま逃げ切った。

こうしたビッグプレーを含め馬場は11得点3リバウンド2スティールを記録。ヘッドコーチのルカ・パヴィチェヴィッチは馬場のパフォーマンスについて「もっと長い時間チームの練習に参加することで、他の選手に彼のプレーをより理解してもらい、彼の持っている能力を最大限に発揮できるようになってもらいたい」と、さらなる活躍を求めると同時に称賛もしている。「若さと自分の持っている能力で貢献してくれた。今日に関しては良くやってくれた」

「自分にできることを、まずは一生懸命やろう」

ただ、馬場本人は、この試合の前まで悩みがあったと語る。「(田中)大貴さんと一緒にプレーしていると、ピック&ロールの使い方など状況判断が素晴らしいです。そこでどう考えてプレーしているのかと見ている中で、考えすぎてしまって自分のやるべきプレーが疎かになってしまったところがありました」

しかし、いろいろな人と相談することで「自分にできることを、まずは一生懸命やろうと気持ちを切り替えました。それが原因かは分からないですが、思い切ったプレーができて自分の強みを今日は出せました。切り替えが大切だったのかと思います」と、よい意味で吹っ切れたことが今日の躍動につながった。

そして2本のダンクについては、「1本目は、ガードナー相手に高さでは負けないと思っていたので、思いっきり飛んで叩き込みました。チームを良い流れにもっていけました。2本目は僕の代名詞かはわからないですけど、スティールからの得意なプレーでした。チームにも自分にも勢いをつけられた」と解説してくれた。

筑波大の奮闘に刺激「自分も負けてられない」

この会見で馬場にもっとも笑みがこぼれたのは、関東大学バスケットボールリーグ戦で本日、在学している筑波大が、A東京と同じ時間帯に行われていた明治大との上位対決に勝利。そして、リーグ戦首位の拓殖大学が敗れたことで、2位の筑波大とのゲーム差が1に縮まったことを知った時で、思わず「よし!!」との言葉が漏れた。

「同じ4年生の杉浦佑成や青木保憲とは、彼らの悩みを聞いてあげたりしていました。昨日の早稲田大戦は40点差と久しぶりに大差で勝ち、筑波らしさを出してくれました。自分も負けてられない。プロ転向は自分で選んだ道なので、自分も結果に出すことにこだわっていきたいです」

シーズンが深まるにつれ調子を上げてきている仲間たちの奮闘が刺激となり、Bリーグでの活躍へより思いを強める馬場。指揮官が会見で何度も言及しているチームメートとの連携が不十分な中でも、すでに試合に大きなインパクトを与えている彼が、試合を積み重ねチームにどんどん馴染んでいくことで、どんなプレーを見せてくれるのか楽しみだ。